少しだけいい音で音楽を聴きたい(2020年4月9日)
私は音楽を聴くのが好きです。
ジャンルは特にこだわらずポップス、ラテン、カンツオーネ、演歌、軍歌、映画音楽、クラッシック、何でも聞きます。以前はジャズをあまり聴かなかったのですが、5〜6年前からよく聞くようになりました。

オハイオに住んでた頃はフリーマーケットでオールディーズとかクラッシックのCDをよく買ったものです。1枚1ドルから、3ドルくらいでいくらでも買えました。

これらはリビングのミニコンポで聞いていたのでしたが、やはり自分の部屋で聞きたいと思うようになりました。
6畳の狭い部屋ですが、仕事を辞めてからはこの部屋にいる時間が一番長くなったからです。

自宅はウサギ小屋なので私の部屋は6畳しかなく、本格的なオーディオ装置を置くような棚とかもありません。そこで少しだけいい小型SP(スピーカー)とデジタル・アンプをセットアップして、PCを音源としたミニ・オーディオセットを机の上に置く事に決めました。

買ったアンプは中華メーカーのSA−98E。秋葉の千石電機に行って、店員さんにデジタルアンプが欲しいと言ったところ、即これを薦めてくれました。
「イヤ〜、ボクも使ってるんですがこれは最高ですよ」
値段は9500円、これは破格の値段だったというのはあとでわかりました。

このアンプ本当に小さいのです。文庫本2冊よりちょっと大きいサイズで、さすが中華製です、出力は80WX2と大風呂敷を拡げてます。これは信用してはいけません。

だって電源が35V0.5A、何で出力が160Wも出るんだ?という事で、”白髪三千丈”の世界で作られた製品であるという事を見事に証明しています。

準備したSPはケンウッドのLS−NA7という超小型SP。17000円くらいで買えました。

このアンプとSP、とりあえずPCを音源にして聞いてみました。まあまあの音です。きめ細かい音とは言えず、ラジカセの音に近い、安っぽい音です。
このままでもいいのですが、それなりの投資をしたのに、ちょっとがっかり。

ウ〜ン、何で思ったような音が出ないんだろう、、、。聞き比べはリビングにあるONKYOのINTEC205というミニコンポ、SPはD−212EXです。
ここから出る音はキラキラ光っている感じに対して、ドロッとした音です。

何でこんなに違うのか、オーディオ素人の私にはわかりません。
やっぱり1万円くらいの中華アンプじゃこんな音しか出ないのか、、、よ〜し、じゃアンプ作ってやろうじゃないか、と息巻いたのが1年以上前。
オーディオに凝り出すスタートを切ったのでありました。

最初に作ったアンプは6BM8を使ったシングルアンプ。
東京に行ったときに秋葉原で部品を買い集め、さっさと2日間くらいで作り上げました。アンプは何台か作って、それぞれ比較をしたいので電源は別にしました。

おお、少しいい音がするようになったじゃないか、それに真空管アンプというのはいいよね〜、ボーッと暖かい橙色に灯るヒーターが。
灯は、「私は一生懸命働いてます!」、という健気な感じが伝わってくるのが実に素晴らしい。

ウーンでもな、、、やはりリビングのONKYOにはかないません。日本酒で言えばONKYOは1本8000円の純米吟醸酒に対し、私の真空管アンプは一升790円の紙パックに入った日本酒。

アンプはやっぱりPP(プッシュプル)でなきゃイカンのだな〜。
という事で12BH7Aという双3極管を4本使ったP.PP(パラ・プッシュ)アンプを作ってみました。

結果は、、、パワーがグンと上がりました。実測はしていませんがプレート電圧と電流値から推測すると3Wくらいは出ている感じです。肝心の音は、、、そんなに変わらない。

ここまで来て悩みました。最初のデジタルアンプを含めて3台のアンプの音はほんの少しの違いは感じるものの、大きくは変わりません。やっぱりメーカ製と同じような音はムリなんだ、、、。
と諦めつつそれでもネットで情報を集めていると、「オーディオは出口と入り口が肝心、先ず入り口からきちんと見直せ」、とあります。

CDとかのデジタル信号はDAC(DIGITAL ANALOG CONVERTER)によってアナログ信号に変わり、アンプで増幅されます。このDACが音質をドラスチックに変えるというのです。
PC内蔵のDACはズバリ、話になりません、とも書いてあります。

またオーディオの世界独特の”おまじない”に近い話かな?
と思ってみたものの、後に引けなくなっている私、外付けのDACを買うことにしました。あんまり安いのも何だし、高いのは買えない。
という事でFX−AUDIOのDACーSQ5Jという、中華製DACを1万円ちょっとでAMAZONから買ったのでした。

届いたDACのユニットは前に買った中華アンプとほぼ同じサイズ、外観はきれいな仕上がりでなかなかいい感じです。早速セットアップ、と言ってもPCとアンプの間に入れてPCを立ち上げればOK、2分です。

余り大げさに表現したくはありませんが、一体今までの音は何だったのだろう、激しくショックを受けました。もう全く別物の音がするではありませんか。
久しぶりに味わいましたね、こういうショックを。
ちなみに最初に聞いた曲は、”Boy's Town Gang”の、”Can't Take My Eyes off You".

フラットかつダイナミックな音、そして音の粒々が耳に心地よい中域から広域。
低音が貧弱なのはSPのせいですが、それでもちゃんとそれなりの低音を出してくれます。
これには驚きましたね、ホントに。

アンプを入れ替えてみました。やはり自作真空管アンプは12BH7AのP.PPが6BM8Sより2ランクくらい上、中華デジタルアンプもさすが脱帽、とにかくパワーがあるので延び延びした音を出してくれます。

これを同級生のFS君に連絡したら、「DACを替えるというのは、昔で言えばプレーヤーのカートリッジを替えるというのと同じ意味だから君の場合、音がドラスチックに変化するのは当然だね」、という返事がありました。
言われてみればナルホドです。

その後ヒマを見つけてはミニアンプの製作をやり、この1年でとうとう4台を作ってしまいました。
一番気に入っているのは短波・超短波送信機に使う2E26という真空管で作ったアンプ、シングルとは思えない素晴らしい音を出してくれます。
しかしこんな小さなスピーカーですが本当にツヤのある音質です。ケンウッドもよく作ったものです。

自作真空管アンプの面白いのは、回路を自分で替えてみたり部品を交換したりして、それが音にどう変化を与えるか簡単に実験できる点です。

真空管アンプを作るとかそういう事をしないで、手軽にちょっとだけいい音を自分の机とか本棚にSPを置いて聞きたい、という場合は既製品のデジタルアンプを買えばいいと思います。

デジタルアンプは3000円くらいからありますが、いろいろな話を総合するとやはり7〜8000円クラス以上を買うのがいいようです。

DACも1000円クラス、5000円クラス、10000円クラスの3種類を試してみましたが、5000円クラス以上であれば先ず大丈夫という感じでした。

私が買ったDACはこれを付けると只のPCが高級CDプレーヤーになる、という評価があり、あながちウソではないという感じです。

SPも箱が大きくて値段の張るものがいいのは当たり前ですが、今使っているケンウッドの小型SPはバランスのとれた音で気に入っています。

この1年、今まで殆どやった事がないオーディオの世界にほんの少しだけ足を入れてみました。言えるのはバランス、それと深追いしない、です。
「バランス」、とはどこかだけ(例えばアンプだけ、とか)豪華にしても何の意味もない、深追いしないとは、「少しでもいい音を求めようと、のめり込まない」、という意味です。

何?じゃ、もういじくらないの?そうです、これで十分です、私は。