定年後(2020年6月8日)
ボクは仕事を辞めて既に2年以上が経つが未だに時々、「定年後の生活はどうですか、何をしていますか、私は何に気を付ければいいですか。」、などの質問というか相談を受ける。
「私は今まで定年後の事はあんまり考えてこなかったので、いろいろ不安です。」、とか書いてあったりする。

ボクの答えは決まっている。
「何も考える必要はない。自分の好きなように過ごせばいい。それだけ。難しく考えるな。」
である。
間もなく定年の後輩のO君は電子機器の技術者と同時にジャズピアニストでもある
定年後は何々をしなければならない、こうあるべきだ、これをやれ、あれはダメ、とかいうのが多すぎる。
それでみんな不安になるのだ。

ボクが63才までいた会社ではこういうのを教えるために、40代後半に”定年準備講習”をやっている。
ボクの時は55才を過ぎてからの講習だったが、これでは遅すぎるというので早めたそうだ。

ボクは55才の頃は外地で駐在勤務をしており、そういう講習は受けれないと思っていた。ま、興味もなかったしね、その時は。

でも一応人事に問い合わせたら、「今度の日本出張か何かの時に寄って下さい。説明やりますから。」、という返事だった。
で、日本出張の時に本社で話を聞いた。

小さな会議室で人事の女性社員がコーヒー飲みながら半日かけて雑談を交えながら説明してくれた。立派な分厚い資料(冊子)をいくつもくれた。正直に言うと2、3を除いてあまり役に立たなかった。
退職金とか年金についても資料をくれた。でも何だかよく理解できなかった。ズバリ、何もかも言葉が難し過ぎたね、ボクには。
急に建物の話なんか始めたりして。2階建てとか3階建てとか。これって年金の構造の話の時にやる例なんだってね、びっくりしたよ。まあ、ボクの予備知識ってその程度だったというか、今考えると殆どなかったのだね。

担当者には申し訳ないが、そんな程度の印象だね、あの時は。
まあ、役に立ったのは健康に気を付けよ、ギャンブルにはまるな、付き合いの輪を大切に、の3つかな。

”健康に気を付けよ”は人間は動物だし段々と機能が衰えてくるので、言われなくてもみんな自然にわかるけどね。
もっと別の言い方をすると黙ってても人間の本能として健康には気をつけるようになる。問題は誰でも気は付くんだけど、そのための具体的な行動を起こすか、起こさないかの違いだけだ。
だからあまりとやかく言う必要はないかもね。

”ギャンブルにはまるな”、は退職後の経済状態を健全に保っておけ、という事だと解釈した。例えばパチンコの負けをボーナスで埋め合わせる、なんてできなくなる。
でもギャンブルやっている連中に”やるな”、と言って”辞める”ヤツは殆どいないのはみんなの知っているとおり。やってる連中は観念した方がいいかも。

お金はあれば必ず幸せになれるとは限らないが、お金がなければ幸せにはなれない場合が多い、こういう事だね。金額とか、ある、ない、はそれぞれ人によって大きく違うから一概には言えない。

”付き合いの輪を大切に”、は軽く挨拶して2〜3言話せる人から、何でも話せる友人、そしてカミさん・身内家族までも含む。
若いときと違うのが、付き合いの輪は拡がる事は少なくなり、どんどん小さくなっていくのが普通になる
付き合いは面倒になる時もあるので、自分で負担にならない程度に”好きに”やればいいね。これも深刻に考えないで、好きにやればいい。

定年後の基本は”好きにやればいい”、だが「定年後は?」と聞かれた時に、ボクは話したりメールで答えたりする事が一つだけある。
それは毎朝起床してからの時間の過ごし方についてだ。

定年を迎えて65才以上になると朝はどうしても早く目が覚める。ボクの場合は5時半頃、どんなに遅くても6時には起床する。これ以上は寝れない。
結論から言うと、起床後1時間を現役時代と同じ過ごし方にする、だ。
自分の好きなことだけしかやらなかった岡本太郎
ボクは朝起きて、体操して、洗面して、髭を剃って、食事をして、トイレに行って、着替える、これを現役時代と基本的に同じペースでやっている。
それだけだ。
やってなかった事を定年だからと言って始めたわけではない。

現役時代はパンを銜えながら着替えをして、ネクタイ締めながら自宅を飛び出していく、というパターンだった人にはそれをやれ、というのか?と絡まれそうだが、やってもいいよ。

それと最後の着替えとは、そのままの格好ですぐに外出が可能な格好になる、と言う意味だ。

ではこれをやるとどうなるか。
”好きに過ごす時間”が7時前から始まる。
何だそれだけかよ、と言われそうだけど、1日をものすごく得をした気分になれる。
得とは時間のことだ。

結果として趣味をするのも、何かをするのも朝の7時がスタートになる。
ボクは10時まで書斎でやる事が決めてあるので、これに没頭する。部屋を出るのはコーヒ、お茶を台所に取りに行くときだけだ。3時間経って一息入れてもまだ10時、これはいいよ。

朝7時にはその日のスタートが切れる、それだけで清々しい気分になれるのも不思議だね。
ボクが言ってるのは朝の行事(とボクは呼んでいる)を現役時代と同じペースでこなすだけなので、誰でもできる。(何だ、そんなの既にやってる、という人は多いかも。)
同じと言っても実際のペースはかなり落とすわけだが。1時間もあれはお釣りがくる。

仕事をやらなくなると朝がついダラダラとなって気が付くと時間はお昼、まだパジャマなんかを着てたりするという人がいる。ボクも現役時代の土日にそんな時もあったね。

それとボクはテレビを殆ど見ない。食事の時のニュースなどを除くと1日に10分以下、多くても30分くらい。ボクはテレビは人生最大の敵だと思ってる。何でか?
テレビほどたちの悪い”時間ドロボーはない。一昔前のパソコンに近い。(昔のパソコンってセットアップに3日とか掛かった事が結構あった。違う?ボクだけか?)
テレビを見出すとあっという間に2時間3時間が消し飛んでしまう。

この前ある雑誌を読んでたらこれからの人生についてこんな風に書いてあった。

60才 給料減額
65才 定年退職、第2のおつとめ(年金なし)
70才 仕事辞め、やっと年金
73才 被介護に入る
84才 寿命を迎える

寿命について最近人生100年とか言ってるけど、あれを言い出したのは誰だ?現実はこんなもんと違うか?
定年後って短いのがよくわかる。そう、、、本当に短い。定年後の時間は長いぞ、とか言う人がいるがあれはウソだと思ってる。

だから定年後は時間を大事にしたいね。