日高義樹氏の新刊を読んで(2021年05月11日)
日高義樹氏はNHKの元アメリカ総局長、現在はハドソン研究所客員上級研究員でワシントンDCの郊外に住んでおり、85才である。最近は少しペースが落ちているがしばらく前まで3〜6ヶ月に1冊のペースで著書を出していたので複数の強力なスタッフがいると思われる。

この前行われたアメリカ大統領選挙で共和党トランプが破れ民主党バイデンが大統領になったが、ボクはバイデンという人物がイマイチわからなかった。
そこで久しぶりに日高義樹氏の"バイデン大混乱・日本の戦略は"という著書を手に取ってみた。

日高氏はアメリカで共和党支持者の立場から親米・改憲・自主防衛という一貫した姿勢を取っている人である。
日本はアメリカの核の傘の下でアメリカに寄り添いながら中国ともうまく付き合って金儲けをしたいという、謂わば虫のいいやり方をとってきた訳であるが、これがそろそろ通用しなくなるのが見えてきた。

日高氏は今回大統領になったバイデンとは何物か、どういう人物なのかこの著書の中で明確に述べている。

バイデン大統領はアメリカの上院議員を35年間やっているが、この間の政治的な実績は何もない。オバマ大統領の時に副大統領をやったがこの間の実績も無い。これはアメリカのマスコミも認めている。

そもそも長い選挙期間中に政策らしい政策を打ち上げていない、それに世界の事には興味がないという姿勢であり、アメリカ国内を安定させるために各国の協力を求めるだろうと日高氏は見ている。

特に対中国政策に関する協力を各国に求めるだろう、もちろん日本に対しても具体的な協力を、という事らしい。

協力というのは経済的・軍事的協力の事だ。これに対して日本の管首相は自民党の中でもずば抜けて外交と軍事に疎い人で、こういうアメリカの要求に対して外交交渉ができる人ではないとも断言している。

既に中国には300基以上の核兵器があってアメリカとロシアの間に割り込んできており、中国の覇権はこのままでは誰も止める事ができない。

そういう中で中国に尻尾を振っている日本に対し、アメリカに協力せよ、との意向が既に来ているらしい。日高氏によるとバイデン政権は日本に親中国派の勢力(二階幹事長を中心とする勢力)を切るよう、暗に要求しているらしい。
しかし管総理にそんな事できる訳がなく、またボクが知っている限りでは最大の親中勢力は与党公明党であって、ここに手を突っ込むなど無理であるのは明らかだ。

また日高氏はWTOが知らん顔している中国の不法な経済政策などに対し、イギリス・ドイツも強硬政策を打ち出しており早く日本もその中に入るべき、と提言している。

コロナについては今やワクチンが完全な政治の道具になっている。中国は台湾と国交のある中南米などの国に対し、ワクチンを供給するから台湾との国交の断絶を要求している。正に人の命を手玉に取った外交である。

基本的に今回のワクチン開発は学問的に言うとかなり急ぎすぎており、様々な副作用に対する確認作業が殆ど無視されて国民に接種されている。
この点について日高氏は特にロシアと中国のワクチンは全て情報コントロールされているので何が起きているのかよくわからないと言う。
既に開発されているワクチンのうち一つは遺伝子治療の薬品で非常に危険な代物らしい。

また2種類のワクチンはマイナス70℃での保管が必要であり、これが輸送・保管の中でずっと維持できるのか、そもそもそのような設備があるのか、という大きな課題もある。

ワクチンは世界中の人々に接種されなくてはならないがアフリカの奥地、その他開発途上国の津々浦々までワクチンが行き渡るのか疑わしい。

更に怖いのはマイナス70℃で保たれていなかったワクチンが接種された場合、どういう事が起きるのか十分な確認が取れてないらしい。

であるから今注目を浴びているワクチンがどこまで世界的に感染を食い止めることができるのか疑わしい、という事にもなる。
また現在のワクチンは新型株に効果があるのか? ないという学者の方が多い。

各国の為政者は競って中国からのワクチン(どんなワクチンなのか)を受け入れて国民に接種しようとし、中国は外交のツールとしてこれを利用している。
ナゼここまでしてワクチンの接種を急ぐのか、それは各国はコロナによって政治的・経済的に限界が来ており、大混乱寸前になっているからだと日高氏は書いている。
そういうのは日本にいるとなかなか実感ではわからないが、事態は想像以上のようだ。

さてそんな中で4月17日、日米首脳会談がアメリカ・ワシントンDCで行われ、共同声明が公表されたた。
内容については一応ニュースで読んでみた。
中国・台湾問題への取り組み、北朝鮮への対応、インド太平洋のからの中国勢力排除、気候変動問題、新型コロナウイルス問題、東京オリンピック、サプライチェーン、沖縄米軍基地、人種差別、などであった。

焦点は中国・台湾問題でこれ以外はグリコのおまけみたいなものだ。(グリコってまだあるのかな)
コロナはワクチン打って人口の7割に免疫ができるまで今の対応を加速するだけの話であるが、管総理はファイザーの社長と会ってワクチンのおねだりをしようとしたが、そもそも会ってもらえず、テレビ会議でお茶を濁された。

これはもちろんバイデン政権の意志が入った対応である。日本の優先順位などは眼中になく、ワクチンは間違いなく政治の道具である証明である。


台湾問題についてアメリカは中国の動きをレベルごとに想定をしており、それにどう対応するかも既に計画済みだ。

日本に対しては何をどこまでやって欲しいという具体的な内容について念を押したのが今回の会議の最大の目的
である。

ところが日本のマスコミの報道を見るとこの共同声明に対して"中国が反発、反発"と
中国の反応ばかりに気を使った内容になっている。
台湾ほどの親日国は世界中にないにもかかわらず、日本のマスコミは中国共産党の出先と化している。

日本がこれから何をしなければならないのか、これを言うマスコミは殆どない。日本は
アメリカにイヤイヤ"巻き込まれている"、という親中からの視点がクローズアップされている。

日本の
尖閣諸島問題は台湾問題とワンセットという重要な点にも触れていない。
中国を刺激しないで何とかうまく舵取りするか、「さあ管さん、お手並み拝見。」、という感じのコメントばかりだ。

日本は1960年代に
中国による思想支配の基礎を作られ、1980年代に政治家が抱き込まれ、2000年には経済支配の基礎が築かれ、2015年頃には150万人の中国人が日本国内に住み込むようになった。

そして2030年には
国土の一角が中国に占領され、2050年には日本全体が中国の支配下に置かれる、という流れになっているのは日本人の多くが認識してにもかかわらず、これには一切タッチしない。

尖閣諸島の領海は既に実質的に占領された。あとしばらくすれ日本漁船は島に近付くことさえできなり、島にはいつの間にか漁民(実は紅軍兵士)が上陸する。
こうなっても
政府はいつもの"遺憾砲"を発射するだけで行動には移さないだろう。行動をすれば日本国内で何が起きるか、それを制御できる自信がないからだ。

これは日本への明らかな侵略であるが、日米安保条約を結んでいるアメリカは日本が先に動かない限り行動は起こさない。日本人の中には何かあればアメリカが真っ先に助けてくれると思っている人が多い。しかしこれは120%ない。

仮に政府が
自衛隊に防衛出動を下令しても部隊は動けないのではないか。恐らく、、、隊員の家族が黙っていないだろう。

隊員家族を煽動するグループ
は既に日本に一杯ある。
ウチの息子を死なせる気か、ウチの夫をそんな危険な目に遭わせるのか、泣いて叫ぶ親や奥さんがテレビの画面に大写しで出る事になる。

隊員は動揺し命令不服従・脱走などが頻発、部隊は機能しなくなる可能性がある。
ナゼこんな事が言えるか?簡単に言うと
自衛隊は軍隊ではなく、隊員は公務員だからだ。
防衛出動は災害派遣とは訳が違う。

それに今の状態では有事の際、操縦者不明のドローンが日本の空を舞って自衛隊の航空機などは発進もできなくなるであろう。

では現実的に日本はどうすればいいのか、これから先も我々が生きていくためにはどうすればいいのか。
既にもう遅すぎるかも知れないが日本が自立国家に生まれ変わる事が唯一の方法ではないか。


自立国家と独立国家は違う。
日本は独立国家であるが自立国家ではない。

日本は法的には国家として独立しているが、軍事的・経済的に他の国の影響をあまりにも大きく受けており、自分の意志で物事を決めにくい国だ。

アメリカににじり寄ろうとすると中国からグッと睨まれる、北朝鮮というチンピラには恫喝される、恩知らずのスピッツみたいな犬(韓国)にはいつもキャンキャン吠えられる。

中国は裏庭に勝手に入ってきて生け垣の位置を変えようとしている。そういう中で日本はどうすれば自立国家になれるのか。

やはり
土足で裏庭に入ってくる不届き者とかチンピラは追い払う"チカラ"がいるのではないか。
スピッツは?水をかけてやればいいのでホースを準備しておけば十分であるが。

つまり自立するためにはルールを守らない連中を追い払ったり言い聞かせる力が必要なのだ。この
力とは強い経済力と防衛力(軍事力)なのだ。他国への依存をしなくうてもいい、自立した経済力と防衛力を再構築する、日高氏の著書を読むと結論はいつもここに行き着いている。
細かいところは言えばキリがないが、ボクはこれは正しい進むべき方向であると思っている。