歴史を楽しむ(2021年07月16日)
ボクの趣味のひとつに歴史の研究がある。研究というと一体何をやってるのか、という事になるが対象は日本近代史である。
近代史の中から自分でテーマを幾つか持って文献(という程のものでもないが)を漁ったり(パラパラと見るだけ)、資料館・博物館とか実際にその現場を見たり、人から話を聞いたりという全くの時間つぶしレベルである。
テーマを理由に一人旅にブラリ出かける事もある。
現代史の要のひとつ、日露戦争
日本近代史とはペリーが黒船で日本にやってきた1853年からサンフランシスコ条約締結の1951(昭和26)年までの100年を範囲とするのが一般的だ。
しかし当然この範囲を越えてはならん、という訳ではなく適当(と言うか、かなり)に前後の年代に逸脱・侵蝕する。

近代史を紐解くと自分の親、祖父母、叔父・叔母達が生まれて育った時代の日本が古い映画を観るように浮かび上がってくる。

父が話していた事の中で大きく記憶にあるのが父が小学校生の頃、近所の80才近くのお婆さんから聞いた話の事である。
それは幕末の京都(鳥羽伏見)の戦いで敗れた幕軍の侍が町に逃げてきて小判をバラ蒔き、漁港から渥美半島に向けて船を出させて命からがら逃げていったという話である。

父は松坂市のある漁港の町で生まれ育った。ボクもそこで生まれて3才までいた。生まれた家から漁港までは歩いて数分だった。
ちなみに京都から松坂までは約80km、当時の人の足であれば2〜3日で来れる距離である。

父が話を聞いたのは支那事変が始まった頃だったそうで、支那事変は1937(昭和12)であり鳥羽伏見の戦いは1968(慶応4)年1月なので、例えばそのお婆さんが当時12才だったとすれば父に話した時は81才である。
当時の81才と今の81才では少し違うかもしれないが今のボクはその年令はどういうものなのか、かなり正確に想像できる歳になっている。

たった一つの話ではあるがこれを考えると江戸時代とはそんな大昔ではなく、何となく自分との繋がりを感じる気分になるではないか。
鳥羽伏見の戦い
漁港はボクが20才になる頃まで昔の姿を少し残していたという事で、ボクは生まれ故郷を訪れると漁港に行き、手負いの落武者が小判をバラ蒔いて漁師に船を出させる姿が見えるような気がしたものだ。

鳥羽伏見の戦いは現在の京都市伏見区・南区のあたりで戦われ、幕府側であった津藩の寝返りが一つの要因で幕軍は敗走に追い込まれたとされる。

津は実にボクの育った市である。その津藩の初代藩主藤堂高虎は主君を何度も変えたという、常に悪評が噂された殿様であった。

案の定鳥羽伏見の戦いでも関ヶ原の小早川秀秋を演じて、譜代でありながら幕府を裏切り他の藩から、「さすが藤堂殿の御先祖返り、、、」と目を細くして言われた藩である。
つまり裏切り者、というレッテルを剥がすことのできない殿様、藩という事になる。

そういう事もあってか明治新政府からも結局は重用されず津藩からの要職者は誰もいない。
こういう事を考えながら、「そうだ、今度京都に行ったら鳥羽伏見の戦いの戦跡を見に行ってみよう。」、と言った具合で既に2泊3日の京都行きを決めてある。
父の話から勝手に細い細い糸を伸ばして時代を散歩する、、、ボクはこんな事も時々やる。

日本近代史を調べるには当たり前の事であるが、やはり同時代の世界史の中の主要な事柄についての"基本的な知識"がないと本質が見えてこない。
例えば次のような質問に普通の中高校生が持つくらいの知識のある人に2〜3分で説明できるか、と言われると案外、「??」になるのではないか。

・ なぜイギリスは世界を支配できたのか
・ なぜアメリカは独立後に南北に分裂したのか(南北戦争の本当に理由)
・ なぜ欧米列強は(幕末期に)次々と日本を訪れたのか
・ なぜドイツ国民はヒトラーを支持したのか
・ なぜアメリカは超大国になったのか
・ なぜ中国共産党(毛沢東)は内戦で国民党(蒋介石)に勝利できたのか


これらはいわゆる、"極めて素朴な疑問"、とも言うべき内容ばかりである。
1972(昭和47)年、日中国交正常化で中国に行った田中角栄に対し
毛沢東と周恩来は、「今の中国があるのは日本のお陰です」、と礼を言ったがこれは具体的に何を言っているのか。

これを知ろうとして調べるとそこそこ骨が折れるのだが、こういう事をさらりと解説している本を2年ほど前に見つけた。

"なぜ地形と地理がわかると世界史がこんなに面白くなるのか"" なぜ地形と地理がわかると現代史がこんなに面白くなるのか"の2冊だ。

ボクがそれなりに詳しく調べた事について、どのように解説されているか読んでみたらうまくコンパクトに書かれていたので買うのを決めた。

さっと目を通してわかった事はボクみたいに歴史オタクだけではなく、普通に
歴史にちょっと興味のある人が読むにも最適な本だという事だ。
2冊で100の、"なぜ〜"があり、ナゼに答えるには記述が簡単過ぎる"ものが半分くらいあるものの、
これを手がかりにして何かを調べるという使い方もできる。
ボクは友人・知人で歴史に興味を示す人に勧めている本だ。1冊がコーヒー2〜3杯分で買える。

今回は暴言ではなく、ちょっと真面目な話になってしまった。反省。