人の生き方とは(2021−11−04)
皇室のある女性と一般人K氏との結婚が話題になっている。ボクはそういうジャンルにはあまり興味はないのだが、それでも幾つかのちょっと気になる事がある。

先ず、K氏の母親は元婚約者という男性と400万円の借金の件で何年間も揉めている件である。気になるのは借金そのものではなく、その元婚約者という人物が今でも顔も名前も公表することなく、一方的に闇の中からいろいろな発言を繰り返している事だ。
これって何かおかしくないか。

先日2人はめでたく結婚し、その会見で2人は皆の前で抱きついて結婚のお披露目をした。
この2人から"品"という言葉が吹っ飛んだ瞬間でもあった。

K夫妻はNYCに住む計画で、K氏はNYCで弁護士を生業とするためにロースクールに3年間通い、この7月にNYの弁護士試験を受けたが不合格になった。

試験は2月に再チャレンジすると言っているが、関心はNYCに於ける生活の経済的バックグランドの一角が崩れてしまった事である。

しかしこれはあまり心配しなくてもいいらしい。
女性は元皇族なのでこのブランドを利用すればK氏が目論んだ20万ドルの収入とは比較にならないお金を得られるという。

日本の皇室の"格"はヨーロッパの王室よりも上、ターバン巻いた中東の王室などに至っては比較にならないという世界の常識を日本人自身があまり知らない。

ちなみにこの女性皇族は天皇裕仁(ヒロヒト)の曾孫であり、天皇ヒロヒトは欧米ではマイナスの意味も含めて”超”有名な存在である。

この"皇室ブランド"はビジネスの世界にいくらでも利用ができる、という事をその筋の人が明言しているらしい。例えば一番手っ取り早いのが本を出す事だという。
ストーリーメーカー、ゴーストライターが既に本の枠組みまで幾つも作り上げているともいう。

そんな事あり得るのか?

これに関してボクが気になる事は日本のマスコミがK氏の20万ドルの収入(予定)についての見方である。ほぼ全部のマスコミが"高収入"と言う。
少々下世話ではあるが、アメリカに於ける年収20万ドルとはどういう事なのか超簡単に計算してみた。

まず税金、アメリカも日本と同じく連邦(国)、州(県)、市とあって、全部で6万ドル程度になると思う。これを言うと知人達は「え?」と言うが、ボクから言わせると日本の税金が異常に安すぎる。アメリカは年収が1万ドル(100万円)でも10%の所得税がある。

更に日本ではあまり考えなくてもいい健康保険料がアメリカでは大きな支出になる。
オールマイティーに近い健康保険を契約すると最低ひとり1万ドルは必要ではないか。

これを引くと残りは12万ドル、2人が住む予定のアッパーウエストのアパート代9万ドルを払うと手許には3万ドル(300万円)が残る

何と言ってもアメリカの健康保険料金のバカ高いのには呆れるしかない。
これは医療費そのものがメチャクチャに高いからだ。盲腸の手術入院2泊3日で2万ドル(200万円)だ。

アメリカには公的健康保険制度はないので自分の収入に応じて個人が保険会社と相談して加入する。
2千ドルでも3千ドルでも保健はあるが、びっくりするような制約と、大きな自己負担を覚悟しなくてはならない。

オバマケアを日本の国民健康保険と同じようなもの、という解釈をしている日本のマスコミが多いのには驚く。
全く違う。オバマケアとは今までの保険に"貧困層"でも入りやすいように少し制度を変えただけである。

健康保険の仕組みは実に複雑であるが、普通の人がまあまあの保険に入ると4人家族では2万4千〜2万8千ドル(300万円)というのが相場だ。

アメリカも会社が保険会社と一括して契約し会社が一部を負担するところもある。この場合でもどのレベルの保健に入るか毎年社員が決める。会社負担分は率ではなく定額の場合がほとんどで、条件で個人負担額は大きく変わる。

救急車は乗るだけで200ドル、これは元々保健は適用されない。お産は1泊で保健がなければ1万2千ドル(120万円)、出産して日帰りする人も多い。
日本だと1〜1.5ヶ月くらい入院させる手術でも3〜4日で退院、それ以上は1日2000ドル以上の個人負担を覚悟しなくてはならない。

ボクもアメリカで大手術をしたが手術した2日後に回診に来たドクターから、「帰りたければ明日家に帰ってもいいですよ」、と言われた。入院の自己負担分が増える事に気を利かせてくれたのだと思う。

「もう1〜2日ここにいたいのですが。」とボクが言うと、「え?ああ、いいですよ」、と少し驚いた返事だった。

あとで病院から保険会社への請求の写しが自宅に送られてきたのを見ると、手術と3泊4日の入院で確か7万ドルだったか8万ドルになっていた。

ボクの会社は駐在社員に対して一般治療・薬代で個人負担がない保健だったが歯科は上限があり、歯医者とは縁が切れないボクは3000ドル以上を払った年もあった。

K夫妻のNYCでの生活について、マスコミはアッパー・ウエストのコンドミアムの家賃80万円と、弁護士になった時は20万ドルの"高収入"があるというゴシップは流すが、税金と健康保険の事は何も言わないのが不思議だ。

K氏が弁護士試験に合格して年収20万ドルを得たとしてもNYCでの生活がは難しいのは明らかだと思うが、何かカラクリがあるのか。やはりどこかにスポンサーがいるのか。

江戸時代、"武士"は"貧乏人"の代名詞であった。江戸時代の風俗・生活などについてボクは随分と調べた事があるが武士の暮らしぶりは実に質素で、体面を保つのに汲々として哀れさえ感じる貧しい状況に置かれていたのがよくわかった。江戸時代の270年間、武士はズーッと貧乏であったのは間違いない。

しかし彼等は"御武家"という事で百姓町人から尊敬を受けていた。これは武士の持つ為政者(江戸時代の武士はある意味で公僕であった)としての倫理規範からくる彼等の生き方に対しての尊敬であったとボクは思う。

武士は私利私欲を律し、自らに厳しく、礼節を重んじ、品位を保って生きていかねばならない人達であった。
その理由は"武士だから”、である。
武家の子は小さい時から厳しく躾けられ、論語を読み、剣術を習いというのは明治になるまで変化はなかった。

江戸時代の武士とその家族は全人口の8%くらいだった。
武士は身分制度により百姓・町人の上にあったから見かけ上で尊敬されたのではなく、尊敬されるべくして尊敬されたとボクは見ている。

もちろん例外は一杯あったが、例外に注目し過ぎると本質を見る目が曇ってしまう。

現代は江戸時代の武士に相当する人はいない。
しかし明らかに一般人と違う立場と世界で生きている極めて少数の人がいる。皇族である。

生まれてから死ぬまで(女性で結婚をして皇籍を離れる以外は)公人として一生を捧げる人達である。

皇族は私人である事を極端に制限され、我々とは違う崇高な精神と考え方、そしてその頂点にいる天皇は日本国と日本人の象徴代表としての存在である。我々はこういう事の全部に対して敬いを持っている、という事ではないかとボクはぼんやりと解釈している。

K夫妻については素朴な疑問がいくつかあり、それらに対して様々な憶測も飛び交っている。やはり先ずはそういう疑問にはっきりと答えて事実を明らかにし、グレーな部分を取り除いて頂きたい。K夫妻の妻は皇族出身者という、誰が何と言おうと一生涯消せない身分を持つ。K氏もこれを理解した上での結婚である筈だ。

であるからK夫妻には、こういう背景にふさわしい振る舞いと生活態度を早く見せて欲しい、ボクはそう思っている次第である。