親の義務(2022−06−05)
この前アメリカのバイデン大統領が来日、これについてマスコミはあれこれ報道していたが、肝心な事は何も伝えていなかった。肝心な事とはこの時期にアメリカの大統領が一体何のためにわざわざ日本まで来たのかという真の理由と、一体何を話し合って何を決めたのか、という結果である。

例えば防衛費を今の2倍にするとか岸田総理は言ったが、これは消費税率2%分に相当する巨額であり、国民にきちんと説明なしにボクは到底賛成できない。

アメリカ大統領は来日前に東南アジアの首脳を招いて会議をやり新経済圏構想であるIPEFについて説明をやっている。岸田首相はバイデン大統領から、「ASEANの連中にはお前の方からもIPEFの件、ちゃんと話しておけよ。」、とか言われたのは間違いない。

前後してアジア政界の重鎮、マレーシアのマハティール元首相も来日しており、あちこちでマスコミなどのインタビューを受けていた。
マハティールは日本を手本に、"ルックイースト"で国の政策をとった人として有名だ。

ボクははっきりと覚えているが、今から40年以上前にカナダ出張時の機内誌(NWだったか?)に2000年までのアジアに於ける経済成長率の最も高い国として、シンガポールとマレーシアが上がっていた。

その時は、「シンガポール?マレーシア?典型的な低開発国じゃないか。これって日本の間違いじゃないのか?」、と大いに疑問を持ったのもよく覚えている。
当時のボクは世界情勢、経済についての知識はまだ大変乏しかった。

しかしその後の両国の経済発展は予測どおりになった。(この時中国はどういう書き方をされていたのか、記憶にはない。)
ボクはマレーシアは仕事でもプライベートでも行った事がなく、いつかは行ってみたと思っている。
実は2年前の5月にマレーシアの中期滞在を計画していたがコロナのお陰で行けなかった。

そんな訳でマレーシアはコロナが収束したら、今まで行ってない国で訪れたい国のNO2になっている。NO1はどこかって?それはポーランドであるが、しばらくは難しそうな感じだね。

マハティール首相へのインタビューでは注目すべき点がいくつかあった。言っている内容は一部の評論家などの発言と同じものもあるが、ボクは”マハティールが言っている”、という点で注目をした。

1. 日本の労働倫理は正しい。働くことは尊い事で一生懸命に働く、これが国を発展させる基本である。欧米の労働倫理は破壊されつつある。既に週休4日の話が出ている。
国民が働かない国が発展するわけがない。日本はその労働論理により技術と資本を蓄積し、国を発展させてきた。そして日本はもっと他国の発展に貢献できる。

2. 中国は戦争で得るものは何もないことを知っている。中国の発展は平和の中で生まれた。
中国を袋小路に追い込むような枠組みはよくない。IPEFで中国外しはよくない。アジアの国々は中国を相手に利益を得ており、むやみに中国を遠ざける事に賛成はできない。

3. ウクライナ問題におけるロシアへの経済制裁、これは実に不公平。経済制裁は大国だけができ、大国は利益を得るが犠牲になるのは発展途上国。やり方を変えるべきである。

4.国連(安保理)が機能しないのは常任理事国が拒否権を持っているから。これをなくさない限り国連は永遠に機能しない。

「経済的発展こそ(軍事より)全てに優先する。中国を路地に追い込んではならない。対話の中で中国のやり方を是正させるのだ。」

ボクはこれに賛成ではある。
しかし問題は、嘘つきでごり押しの中国がどこまで真剣に話し合いに乗るか、ボクは少々悲観的だ。

それといつから日本人は”汗水流して働く”、というのを重視しなくなったのか。マハティールの言う”日本の労働倫理”というのが今も健在なのか、ボクは大いに疑問がある。例えば日本にいる200万人のニート、これをマハティールにどう説明する?

日本にマハティールの言う国の発展はあるのか。最近の日本人の中には、”国とは自分と対立するある種の権力者集団”考える人がいる。しかし民主国家における国とは”個々人々の集合体”を指しているとボクは考える。
従って彼の言う”国”とは”国民一人ひとり”、という言葉に置き換えるとわかりやすいと思う。

マハティール元首相は96才とは思えない、はっきりした言葉で目を光らせて言っていたのが印象的だった。

テキサスの小学校で銃乱射事件が発生、21人が死亡したというニュース、虐めに遭っていた高校生がやった。
この少年が使ったのは軍用ライフルM16の民生用モデルのAR15だ。

アメリカでは確か18才になれば自由にライフルなど、21才になれば拳銃が購入できる。ボクのいたオハイオでも同じ基準で1995年頃は拳銃については身分証明書(運転免許証など)を見せれば即買えた。しかしその後買う手続きをしてから銃を渡すのは1週間後になった。

これは銃砲店が警察に犯罪歴などについて問い合わせが必要になったのと、購入者が何かの理由で逆上して銃砲店に行って銃を購入、そのまま発砲して人を殺すとかいうのを防ぐためだそうだ。

つまり1週間の冷却時間をとれば逆上による発砲は減るだろう、という理屈である。
但しこれは拳銃に対してであり、今回の事件に使われたライフルは関係なかったと記憶する。

同じ駐在社員の中にも拳銃を所持しているのがいて、ボクは何度もそれを借りて射撃に行った。1回で300発くらい撃った事もある。
ボクの拳銃射撃の腕は並以下である。でもライフル射撃は結構うまかった。

アメリカにいると銃にまつわる事件というのは日常普通にある。
ボクの部下のアシスタントマネージャーの妹が夫婦げんかの末、夫に撃ち殺されたとかいうのもあった。高校生同士が撃ち合いをして2人とも死んだというのもあった。

ホテルのカウンターでお婆ちゃんがチェックインをしているときに横に拳銃を持った男が受け付け嬢に「金を出せ」とやったら、そのお婆ちゃんがハンドバックから拳銃を出してその強盗を撃ち殺して、警察から表彰されたというのもあった。

日本食材スーパーの駐車場でホールドアップが起きたとき、たまたまパトカーがやってきてその犯人が逃げてパトカーが追跡、追い詰めたのはよかっが逆に犯人が警官を射殺してしまったというのもあった。

射撃練習場に行くと小学生の女の子にお父さんが一生懸命に拳銃の扱い方を教えているなどは普通に見た。
「この子が天寿を全うできるように。」というのが教える理由である。

つまり将来この子が何らかの不測の事態になった時、銃が使えれば命をなくす事を防げるかも知れない、という理屈である。

ボクは小学校4年生の夏休みに海辺で行われる、水練学校というのに2週間通うように父に言われた。今で言うところの有料の水泳教室だ。

「人は将来どんな目に遭うかわからない。台風が来て水に流されるかも知れない、船に乗っていて海に投げ出されるかも知れない。泳げないと溺れて死ぬ事になる。泳げるというのは自分の命を守る術を持つことになる。早今のうちに覚えた方がいい。」
父はこんな事を夕食の時にボクに言った。
ボクは翌年の小学校5年生の時には、水練学校修了の遠泳2.5kmを泳ぎ切るまでに上達した。

ボクはアメリカの小学生の拳銃射撃の練習を見て、そしてその理由を聞いた時、どこかで似たような話を聞いたと思った。それは遙か昔の父親の話だった。
銃の扱いを教えるのは親の義務、、、さて、これを何と理解するか、、。