ロシアのウクライナ侵攻とは(2023−02ー10)
ロシアのウクライナ侵攻は昨年の2月24日、間もなく1年になる。当時テレビは朝から夜中までこの関連のニュース・報道、評論で埋め尽くされた。
侵攻の直後1ヶ月くらい、普段はあまりテレビを見ないボクも、テレビを見る頻度がグンと上がったネットでは欧米の報道・解説をかなりの頻度で読んだ。お陰で軍事用語の言葉もかなり覚えた。

当時毎日流れる日本の報道が、反戦的というか左翼的なバイアスの掛かった、無知・無責任な意見・感想で溢れている点に疑問を持ち、ボクはこれらをメモにとった。以下はその一部である。

期間:2022年3月3日〜2022年3月20日
情報源:テレビ(NHK、TBS系他)ラジオ(NHK,他)、新聞社・雑誌系WEBサイト、他
発言者:国際政治専門家・評論家、軍事専門家・評論家、番組の司会、各種タレント・コメンテーター、他

・ウクライナが抵抗するから戦争になる。国も大事だが"抵抗"によって多くの死者、着の身着のままで逃げ惑う人が出る。ウクライナが一旦抵抗を止めれば、戦闘がなくなるのは確か。まずそういう状態にして、そしてロシアと話し合いをすればよい。

・ウクライナは16才から60才の男の国外出国を禁止している。国外出国者は殆どが女性・子どもだ。男は政府の命令で直接、または間接にロシア軍と戦うために残されている。これらの中には戦いたくない人もいるはずだ。戦えば傷つき、命がなくなる事もある。これを無理に戦わせるのはどうかと思う。

・西ヨーロッパの各国はウクライナに武器を援助している。これを使えばロシア兵を殺す事ができるかも知れないが、それ以上に自分たちウクライナ人も死ぬ。ウクライナはロシア軍に勝てると思えない。そこに武器を送るとはどういう事だ。死の商人を国家がやっている。恐ろしい。

親ロシア派のウクライナ人だって一杯いるようだ。ロシア側につきたいと思っている人達は、無理にウクライナ人である必要はない。自分がどちらにつくのか、自分で決めるのが民主主義ではないか。自由を守るとか言っているが、矛盾している。ウクライナ軍は、親露派の人を虐殺しているとも聞いてる。恐ろしい。

・ロシアに経済制裁を加えると世界経済が混乱する。既に原油は100ドルを超した。ウクライナは穀倉地帯であり、小麦とかの値も上がっている。日本も様々な物価が上がっていくらしい。今でも生活が苦しいのに更に物価が上がるとなるとどうしようもない。経済制裁は国民の生活にダメージを与える。考えて欲しい。

・ウクライナの件で、中国の台湾侵攻を現実視する人が多い。そうなると日本も巻き込まれるという。宮古島などに自衛隊が強化されているらしいが、中国と戦うつもりか。沖縄の人達はウクライナと同じになるのではないか。そういう事態にならないように、日本はもっとアメリカだけではなく、中国と今のうちから話し合うべきだ。

・日本は世界で唯一の被爆国である。ロシアは小型原爆を使うと言っているらしいが、被爆国の責任として国連で停戦を提案すべきである。今こそ核の恐ろしさを世界に向けて発信すべきではないか。首相は広島出身であり、世界に向けて情報発信をするのにふさわしいと思うが。日本はもっと国連を利用すべき

タレント出身の(ウクライナ)大統領に一体何ができるというのか。ウクライナ国民はコメディアンの言うことに命を捧げるのか。ウクライナ国民は目を覚まさなくてはならない。(これはある超有名な経済評論家のコメント)

以上がボクのメモからの一部抜粋である。今読むと奇異に感じるものもあるが、その頃はこういう意見がかなり幅をきかせていた。その後、欧米の記者などによるウクライナでのロシア軍の作戦行動などの取材報道が多くなった4月頃以降、こういう類いのコメントは減ってきた。

日本の報道、特にテレビ番組は事実を伝えるというより、視聴率を上げるための"ショー的要素"に重点を置いている。生まれてからこの方、国際紛争も領土問題も考えた事のないタレント、知識人と言われる人を出演させて、意見を吐かせたりしていた。それはそれで、「ナルホド、そういう見方もあるのか。」と面白くはあった。
これも半年目くらいから減った。

また日本の軍事評論家と称する人達がロシア軍とウクライナ軍の"戦術・戦闘"について解説をしようとしていたが、アメリカの報道・解説などと比較すると、多くの人達の解説は”中身が非常に浅い”という印象を受けた。
多くの学者先生の解説・評論は、今起きているのは純粋な”戦闘”にもかかわらず、近代戦の戦術・戦闘のイロハの知識がないため、ダラダラと”戦局”を述べるのに終始し、これは現在も同じである。

いつもの事であるがこういう侵略戦争に、国連は1円玉以下の価値しかない事も証明してくれた。ロシアの国連代表が自信なさそうにメチャクチャな、根拠のないロシアの主張を述べるあたり、ほとんど日本のテレビショーに負けず劣らずだった。
あれを日本の国連外交派の連中はどう見たのか、大いに興味あるところだ。
日本のマスコミも、さすがに国連安保理の報道の頻度は下がった。ブラックジョークとして続けてくれればよかったのに。

侵攻直後にEUのウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長が、EU委員会で名演説を行なったというので話題になったが、刺身のツマ程の役にも立たなかった。
アメリカのバイデン大統領は"言うだけ番長"で相変わらず行動力に欠ける。
プーチンの大のお友達であった、ドイツの元首相メルケルはどこに行ったのか、雲隠れしている。

ウクライナはEUのメンバー国ではないし、もちろんNATOのメンバー国ではない。みんな結局はロシアと正面切って、事を構えたくないのである。
ウクライナへの軍事支援も、ロシアに決定的敗北を招くような戦力支援は行っていない。

日本(人)がよく使う言葉に、国際社会というのがある。その国際社会がこんな事やってる間に侵攻が1年経った今、ウクライナ側、ロシア側併せて10万人以上の死者が出ているらしい。これは同時に30万人以上の負傷者がいる事を意味する。プーチンに侵略を止める意志はない。
1年前から言われているサリンなどの化学兵器、日本人の多くは考えてもイケナイ、という事で目をそらせている(戦術)核兵器使用の可能性は消えていない。

日本は、相手の信義を信じ、誠意を持って話せば相手はわかるとしてきた。日本国憲法前文にも書いてある
そして日本は薄手の鎧を着て、自らの手を縛っておけば平和は維持できる、という方針でやってきた。
しかし世の中には話してもわからないヤツがいるし、手を縛ってあれば丸裸にしてくるヤツもいる、一歩下がれば二歩迫って来るヤツもいる。

戦争は一旦起きると、どちらかが負けるまでは終わらない。70年前の朝鮮戦争だって、まだ”休戦”で終わってない。戦争は”起きないようにする”のが鉄則である。
日本はどうすればいいのか。