ボクの師匠:2023ー02ー26
昭和40(1965)年の、日本人海外渡航者数は、約20万人で現在の100分の1、昭和50(1975)年になると、250万人に増え、彼の地での日本人のマナーがいろいろと話題になっていた。

昭和50(1975)年、20代半ばだったボクの目に入った、海外マナーの本が、「サトウサンペイ著 スマートな日本人:日本交通公社出版事業局」、だった。ボクはこの本を今でも持っていて、恐らく何百回も目を通している

この本で得た知識と、これをベースに拡げて知った様々なマナーは、その後のボクの海外出張、海外生活でどれほど役に立った事か。

本には約260のマナーについて、サトウサンペイ氏の絵と簡単な解説があり、各トピックは20秒で理解できる、魔法のようなマナーブックである。

サトウサンペイ氏が伝えたかった事は何か、著作権が気になるところであるが、260トピックの中から44トピックを抜粋、より多くの人の目に触れるようにしたい。

サトウサンペイ氏は2年ほど前に91才で逝去しているが、引用の黙認を頂きたい。(紹介は全体の5分の1以下であり、営利目的ではありません。)

以下は本のプロローグの一部である。
、、、、、、、、
幼いころ、母によその家に連れて行かれると、その玄関先で言われました。
「きちんとお辞儀をするんだよ。お菓子が出たら、イタダキマスって、いうんだよ。お母さんが笑われるからね」

外国へ行くというのも、よそのうちを訪問するようなものではないでしょうか。母親風に言えば、
「何かしてもらったらサンキュー、朝、顔を合わせたらゴッドモーニング、肩が触れたらソーリーって、いうんだよ。これだけは必ず言ってくれないと、日本が笑われますからね」

そしてもっとこまかな、よそのおうちの習慣の違い、まあこれはキリのないほどありますが、主なものをさっと目を通して知っておくほうが、無知でオドオドしたり、ヤケを起こして居直ったりするよりは、ずっと気楽でスマートです。

、、、、、、、、、

各トピックの青文字はサトウサンペイ氏によって、書かれた解説である。解説の中の金額などは、ボクの感覚で現在の価格に訂正した。

食事のマナー:足を組むな
本は大きく7つの領域に分けて書かれており、食事のマナーが一番最初だ。

習慣の違いですから、一読して知っておけばいいのです。一読してあとは気楽に。知っているから、気楽にやれるのです。

サトウサンペイ氏は、こう前書きに書いているが、実にそのとおりだと思う。

食事中は絶対にダメです。こどものころから厳しくしつけられる西洋マナーのひとつです。スナックやカフェテリアでお茶か、お酒を飲むときはOK

食事のマナー:振り回すな
日本でもはしを振り回すのは下品です。おしゃべりを楽しむときは、フォークとナイフを置いてから優雅にやりましょう。

日本では箸置きというのがある訳だが、これを日常で使っている家では、家族の箸の扱いが上品になるようだ

ボクは晩酌をダラダラやるので、この時に箸置きを使う。あとはちょっとした食事会の時、、、。

この絵のような風景は、時々見かけるね。ナイフでモノを指しているのを見たこともある。

食事のマナー:自分で拾うな
英国式のマナーは、テーブルより下に手を置かないそうです。だからポケットに手を入れたり、落としたものを拾ったりすのはいけないのです。

落としたものは、給仕を呼んで拾ってもらいます。手や口を拭くのはナプキンの裏側で。


本には給仕の呼び方も載っている。
ボクは給仕の呼び方は30才の頃、出張先のカナダで、あるカナダ人が教えてくれた。
多分、見ちゃいられない、という呼び方だったのだろう。

食事のマナー:大声で笑う
ウワハッハッハッハ、と笑っても、大物に見えない。
静かに会話を楽しみながら食事するのが西洋の習慣で、他の席に聞こえよがしに高笑いするのはケイベツを買うだけです。


日本人はレストランなどでも突然、ギャハハ!!と弾けたように皆で笑い転げ、また普通の会話に戻り、そして再び突然、全員でギャー!とやるグループがいたりする。

ボクはデトロイトのレストランで、これをやっていた日本人4,5人グループに対し、近くにいた白人が給仕を呼んで、注意させていたのを見たことがある。

食事のマナー;ネクタイせずに食事できるのは?
ヨーロッパにくらべると、アメリカの方が服装に関してうるさくありません。ただ一流のホテルやレストランでは、ヨーロッパ並みに上着、ネクタイが必要。
夕食のネクタイは、世界中の食堂のパスポートです。


ボクは夏休みにサンフランシスコからヨセミテに行った時、ホテルのレストランで、入場を断られた事がある。半ズボンだったからだ。夏の観光地なのに、である。

入り口で年配の白人が申し訳なさそうに「スミマセン、膝の隠れるズボンはお持ちではないですか?」と言われた。
場所は、「アワニーホテル」のレストランだった。

食事のマナー:食堂への荷物の持ち込み
スナックやカフェテリアなどの簡易食堂はOK。ちゃんとしたレストランやホテルの食堂は、クローク(荷物預かり)に預けてから。
チップは2〜3ドルくらい。


日本では、大きなスーツケースを、持ち込んでいる人を、結構見かける。特に朝食時。チェックアウトをして、朝食を済ませて、そのまま出発するという事なのだろう。

京都のホテルでは、朝食ビュッフェで食事を取りに行く時にも、スーツケースを引きずっていたオバサンがいた。

食事のマナー:コースの注文
メニューが読めなくても、何とか注文ができます。

ドイツの田舎で、ぜんぜん読めないメニューを持ってこられたので、ぼくは大体の見当をつけて”このへんと、このへんと”と指をさして注文しました。

ぼくは、今後海外旅行にゆくことがあったら、この本の。この絵を見せて指さすつもりです。
まさか、牛を一ぴき持ってくることはあるまい。


ぼくは注文した後に、全体の量を給仕に聞く事がある。時として、エラい量が出てくるときがあるので。

食事のマナー:ちょっと面倒ものは?(1)
彼らは、黄身をつぶして、皿をベタベタにして食べます。ボクは気持ち悪いので、絵のように白身を削り取って、ヒョイと黄身を放り込みます、、、。
マナーのテキストには、この食べ方は、ヒンが悪いと書いてあります。


ボクはここ何十年、この方法を見習っている。それと他の人が、黄身と格闘するのを眺めるのも、ボクの趣味だ。

本にはいろいろな料理の食べ方について、わかりやすく説明がある。

食事のマナー:ちょっと面倒ものは?(2)
チキンはナイフとフォークで食べます。モモの関節を切ってから食べると書いた本もありますが、、、、。
骨の部分に巻いてある、紙のところを持って食べてもいい、という説は間違いで、紙は骨をかくすためのものです。


ナイフとフォークで関節を切るのはちょっと慣れると、簡単にできる。ボクは関節にある、軟骨が好きなのだが、レストランではさすがに食べない。

他にエビ(ロブスター)、串焼き、魚の食べ方、豆・ライス、パスタ、コーン、リンゴなどの食べ方が書かれている。

食事のマナー:くだものの種は
直接皿に吐くのは”食事三大悪”に入ります。手を少し丸めて、いったん手にうけたのを皿に移します。

スプーンがついているときは、タネはいったんスプーンに受け、皿に移します。終わったら、スプーンも皿の上に置きます。


デザートではアイスクリームなども食べるが、これもスプーンの使い方、食べ終わった後のスプーンの置き方などの絵と解説がある。

食事のマナー:食通のいうキャビアとは?
世界の珍味です。パリの超一流レストランや、本場のソ連ででは、生のキャビアが食べられます。
大豆粒くらいの大きさで、色は金色から、アメ色、褐色に至ものです。
黒い小粒のは塩漬け用で、味は月とスッポンほど違いますから、黒いのでぼられないように。
値段は、時価というやつ。


ボクは、スエーデンだったかデンマークで、生のキャビアを一度だけ食べたことがあるが、味は良く覚えていない。
今は塩漬けのみで、生臭いのであまり好きではない。

食事のマナー:シェリー酒を飲みたいわ
花に花言葉があるように、ワインにもワイン言葉があるようです。
連れの男性に食前酒をすすめられて”シェリー酒を飲みたいわ”などというと、それは”今宵、あなたのいいなりよ”の意味に取られるそうです。

もちろん、三人以上のときは関係ありません。

他に、女性にボトルワインをすすめた時の意味などの解説、なかなか興味深いね。

食事のマナー:伝票でクラクラしないために
見るべきポイントは、サービス料。これが含まれていれば、チップはおつりの小銭程度を残せばよいのです。
合計金額は一番下の数字。


他にも伝票の見方、支払いのしかたなど、実に”エキス”と言える事柄の解説がある。

ボクはよくわからない時は、係の給仕に聞く事にしている。何年か前からチップが上がっており、特に都会では20%程度は当たり前、25%という人も中にはいるそうだ。

ホテルの使い方:人に下着を見せるな
あわてて目を伏せるメイドさんを見て、「はみかんじょる、ウブなやつよ、ワシに気イあるんちゃうか」、などと、ちょっかい出すのは、見当違い。
タオルも性に関係あるそうで、見えるところに置くのはダメ。


ボクは旅行では部屋着として薄手のジャージを持って行く事にしている。

ホテルの使い方については60程のマナー、必須の知識が解説されている。必見。

ホテルの使い方:廊下は外?
連れが近所にいると、ついパジャマ姿で”日本食品交換会”が開かれがちですが、廊下は公道、ガウンを着るか、服に着替えて。
誰しも、酔えば大声になるけれど、そのたびに”ジャップめ!”と思われたのでは、日本の将来は、ちと不安。
真夜中12時過ぎに、風呂の湯をゴオゴオ流すのもエチケット違反。


中国人はドアを開けて、廊下越しに前の部屋の連中と話をする。怒鳴り合いのケンカが始まったと思った事があった。

ホテルの使い方:女性の部屋に入るときは?
「焼きのりお好き?」なんて、女性のお部屋に入るときは、必ずドアを開けておきます。
女性に「閉めて」、と言われたら、これはまたこれで、あとあとのことをよく考えて。


アメリカの会社にいると、女性と日本出張の機会があり、聞くと、みんな思わぬきわどい失敗を、やっている。
本社に行く時、スニーカーを履いていたので、「ここは東京、ハイヒールくらい履けば?」、と言ったら真っ赤になって、その後プイ。
英語って隠語だらけ。イヤになってしまう、、、。

ホテルの使い方:あいさつについて
ホテルの中や、船の中で、朝会ったら、見知らぬ同士でも”おはよう”を言います。
近ごろ、日本人は、日本でもいわなくなってしまいました。召使いは”グッ・モーニング・サー”と、”サー”をつけます。目下のものには”モーニン”と省略してるみたい。


ボクはアメリカから日本に出張したとき、日本のホテルのエレベーターで、「おはようございます」、って言ったら、プイと横を向かれてしまった。
「あっ、ここは日本だったんだ。」、その時ボクは、自分で自分に言い聞かせたね。

ホテルの使い方:どうやって使うんだ?
実にいろいろなタイプがあります。押してダメなら引いてみよ、です。

よくもまあ、こんな操作を考えたもんだ、というより、ワザと分かり難くしているとしか思えない構造のものもある。

設計者は、使用者が裸であれこれやって水を浴びたり、熱湯を浴びたりして困っている姿を、ニタニタ想像しながら図面を引いているとしか思えないね。
ボクはアメリカの、特に西部の田舎ホテルで何度も悩んだことがある。

ホテルの使い方:3本のタオルの使い方は?
一番小さいので、体を洗います。西洋人は腕が長いので、背中に手がよく届くんでしょうね。

真ん中のは顔を拭くタオル。これを湯に濡らすと、ボトボトになって、ちっとも石ケンがききません。

左端は、もちろん湯上がりタオル。背中を洗うブラシも売っていますが、やはり日本の手拭いを一本持ってゆくほうが。


ボクも旅行では、手拭いを必ず持って行く。

チップはいくら?:何かさせたらチップがいるのです
物価高のNYCなど、荷物1個につき2ドルくらいだそうです。

タクシーを呼んでくれたドアマンには、ただドアーを開けただけなら1ドル、走り回って探してくれたら3〜5ドルくらいでしょうか。


日本ではホテルに荷物を預けるのは無料だが、NYCでは有料が多く、1個につき10ドルくらいが必要。
NYヒルトンでは2Fの奥の部屋まで持って行って、4時間預けたことがある。3個で30ドルだった。

チップはいくら?:タクシーのチップはだいたい15%
10%のところも20%のところもあるけれど、めんどうくさいから、15%と覚えておいた方が、、、。

荷物1個につき、別額とられるところも多いようです。(英、ストックホルム、ベルギーなど)

大きな荷物を扱わせたら、当然20%は払ってやらねば。


ロンドンのタクシーはまた特別で、これについての解説も別にある。

チップはいくら?:美容院・理髪店では?
全部足すとチップだけで15ドルくらいになる。
男用の理髪店でもヘヤーカットとシャンプーとシェービングをやるとチップだけで最低5ドルくらい。


普通日本以外ではヘアーカットだけで、あとはそれぞれオプションで頼むところが多い。
ボクはアメリカ、フィリピン、そして日本での理髪店の経験があるが、いろいろと随分違った。

海外旅行ではチップ用の札、小銭は常にボケッとに入れておく、これも大事。

日常のマナー:七大悪
七大悪の中から、一つのみ紹介。

人前でズボンをずり上げるな!

特に、女性の前で、ズボンをずり上げるしぐさをするのは、失礼なんだそうです。
落っこちない限り、そのまま、歩いていって、人のいない所でサッと。


アメリカ人を観察した事があるが、確かにベルト持って、左右にゆすりながらずり上げるなどは、絶対にない。

習慣の違い:謝る、について
西洋人は、身体が少しでも触れると謝ります。その時の相づちは「オー・ソーリー」とか「エキスキューズ・ミー」とか同じ事を言えばいいのです。どっちが先にさわったのかは、神さまにもわからない。

しかし大きなことでは、謝っちゃダメです。
世界の主な国で皿を割って、直ちに謝る習性のあるところは、まことに少ない。
「私の責任です」などと言ってしまうお人好しは、日本人とモニ族とエスキモーなどの、まだ一度も侵略されたことのない国だけである。(本多勝一文引用)

習慣の違い:怒るべきことは、怒ろう!
窓の鍵がこわれていて、不用心だったり、従業員の態度が失礼だったりしたら、怒りましょう。
日本語でも怒っていることはわかります。ただ怒る前に、”怒るべきかどうか”、をよく判断して。


日本人は言葉のハンディキャップがあるので、どうしても泣き寝入りしがちであるが、これは非常に大事な事である。

ボクはNYCでホテルに着いた日に、部屋を4回変えさせた事がある。明らかに日本人に対する差別的嫌がらせてあったが「ここの部屋は全部ジャンクか!」って怒ったら、最後にまともな部屋になった。

習慣の違い:レディーファースト
これについて9つの例で解説がある。
ドアー、エレベーター、席のつき方、レストラン・クラブ、飛行機の中、、、。

レディーファーストといっても、十代の女のコは?
父親くらいの年令の人には、やはりそちらが優先のようです。「老」が「少女」より優先するのですね。

相手が西洋の婦人だと、いろいろ気を遣うが日本の婦人だと、「まあ身内だからいいや」、という気になりますが、郷に入れば郷に従えです。野蛮人に思われます。

習慣の違い:カーワイイ!誤解を招く
口に手を当てて笑うポーズが”フランス人にはまず、愛人のあいだの秘密のシグナルと見えるでしょう。

この解説はボクはよくわからないが、日本人は口に手を当てて笑うのが、カワイイとか上品とかで、これをやる人は結構多い。中には、ずっ〜と手を口に当てている人もいる。

これはとにかく欧米人にとっては異様に見えるらしい。面白がって、そのマネをする連中もいたりする。と言うか、半ば馬鹿にして。
これはボクの経験から。

習慣の違い:プレゼントの中
パーティーでのプレゼントは、その場で開かない事が多いようです。
アチラ風のプレゼントは、その場で開けるものと思っていましたが、大勢いるときは、さしさわりが出てくるからでしょう。

Christmas を X'mas と書くと、いやがる人が多いそうです。

これは事実だった。ボクは何人かのアメリカ人に聞いた事があるが、「使わない方がよい」、「よくない」、という返事で、いいんじゃない、というのはなかった。

習慣の違い:日本のビュッフェ・パーティー
女性が男性に水ワリを持ってくる
男性のタバコに火をつける。
ナントか女史ががテーブルを離れないでパクつく。
皿の上でタバコをもみ消す。
ホステスさんのおシリをさわる。


アメリカではバイキングとは言わない。
”Buffet dinner”とか”Buffet lunch”という言い方で、発音は”バフェ”に近く、”フェ”にアクセントをおかないと、通じない。
この頃はまだこういうパーティーで、タバコは大ぴらに吸えたのだね。

買い物と見学:スケジュールをよく見て
いろんなツアーがありますが、祭日や祝日にひっかかると、どこも休みで、ホテルでボケーッとしているだけに終わります。それもまた、のんびりしていいのですが。

これは特に個人旅行で、自分でスケジュールを立てて行く場合、必須である。タイなどではアルコールが制限される祭日がある。

ヨーロッパでは日曜は大体の店が休みで、レストランも多くは閉まっている。
かつてはカナダも、日曜日はデパートなど閉まっていたが、今は開いている。

買い物と見学:双眼鏡はショッピングに便利です
写真ばかり撮って帰っても、アルバムに貼るのは、自分が写っている写真だけです。
カメラもいいが、双眼鏡は役に立ちます。ストリップショーとショッピングに。


欧米は道路名と番地がしっかりしており、これを頼りに誰でも間違いなく、目的の場所に行ける。
但し、道路標識が小さいので遠くから見えづらく、双眼鏡があると非常に便利である。
ボクは双眼鏡より軽量で小型の、8X30の単眼鏡を持ち歩いている。

買い物と見学:あんまり、すすめるガイドは!?
現地のガイドさんなんかで、”ここで買わなきゃ、もう時間が無い”、とかあまりしつこくすすめる人は、何か甘い汁を吸っているんじゃないかと、思いたくなりますね。

これは「思いたくなる」ではなく、ほぼ100%甘い汁を吸っているのは間違いない。中国、東南アジアのガイドは、その比率が限りなく100%に近いのではないか。
希にお陰で、ウンと安く買えたりする事もあるが。

現地ガイドによっては案内は上の空で、客に夜のツアーの売り込みに夢中、という輩もいたりする。

買い物と見学:写真撮影に注意
ソ連や、緊張感の強い国ぐにでは、カメラに気をつけましょう。没収されたり、投獄されたりしちゃ、たいへん。

中東のある国で、着陸前の飛行機から地上の写真を撮って、半年以上投獄された会社員を、ボクは知っている。

観光中も「橋、港湾、堤防」などを写真撮影しないのは、常識である。軍の基地などの撮影は論外である。

かつてソ連(現ロシア)は、テープレコーダーの持ち込みも禁止されていたそうだ。

買い物と見学:失礼なカメラマン
開発途上国だと、つい、いい気になって、人のプライバシーを侵害する人がいます。
美術館で写真を撮ったり、人の悲しみを撮ったり、顔をかくしている人を追いかけたり、は失礼です。


美術館は三脚を使わなければ、写真撮影ができるところが多くなった。逆に日本の方が、写真撮影禁止の美術館などは、多いと感じる。

写真を撮らせるのでお金を払え、というところもある。

国が変われば国に従う:左手はトイレットペーパー
アラブ人、パキスタン人、インドネシア人、マレーシア人、シンガポール人などが左手を嫌うのは、排泄後処理を、左手の指と水で行うからです。

だから、左手で握手したり、方を叩いたり、モノを渡したりされるのを極度に嫌います。
当然、食事は必ず右手を使います。


左手指は「ウンコを拭き取る指」なのだ。
これと関連して、西欧でも右手で何かを行うのは正しい、という思想がある。ちなみに英語で右は「right」、つまり「正しい」、である。

国が変われば国に従う:タイで尊敬すべき三つのもの
仏像、王室、僧侶です。
僧侶とすれ違ったら、頭を下げる。女性は僧侶に近づかないように。タイの僧侶は厳しい修行をしています。

どこかの生グサ坊主とは違います。どうか修行を妨げないように。

お土産に買った仏像を地面に置くのは許されません。

タイは比較的治安もいいし、街を歩いていてもホンワカした感じがして、ボクは好きな国の一つです。

国が変われば国に従う:タイの子どもの頭
タイでは、絶対に子どもの頭をなでるな。

西欧人も、こどもの頭をなでるといやがりますが、タイでは”子どもの頭には仏が宿っている”、という理由から、いっそう激しく拒否します。
善意が仇にならないように。


ちなみに西洋人は一般に、顔や体をさわられるのを嫌がる。だから、触ると”ソリー”と言うわけだ。
可愛いと思ったら、ホッペタにキスをすると喜ぶが、これがなかなかボクらにはできない。

国が変われば国に従う:個人攻撃
タイでは大勢の前で、個人攻撃をするな。
どこの国の人でも、そうなんだけど、義を重んじるタイの人には、いっそう、こたえるようです。周りの者も、人前で怒るような無神経な人間を憎みます。


かつてはこれを会社でやると、そのマネージャーとかは次の日に川に浮く、と言われていた。
これは世界中、殆どの国がダメな行為である。

違うのは日本と韓国、特に韓国人は今でもフィリピンで毎年、何人かが川に浮くそうだ。

機内のマナー四大悪:着替えはトイレで!
人前で下着を見せてはいけないのです。着替えをするときは、せまいけれどトイレの中で。こんなスタイルでいると、スチュワーデスがすっ飛んできます。

さすがに今ではいないだろうが、当時は時々はいたんだろうね、こういう人が。
ボクはアメリカ(シカゴ)⇔シカゴを50往復しているが、最初の頃はトイレでラフな格好に着替えていた。だって片道12時間以上のフライトだからね。
そのうち最初からラフな格好になったので、着替えはなくなったね。

載るまで、着くまで:カバンは大きめがおトク
帰りは、お土産がふえ、一杯になるから。
カゼや胃などの常備薬は必ず持参、アチラでは買いにくいから。
持病の心配のある方は、お医者さんの英語かドイツ語の処方箋を一枚持ってゆかれたほうが安心です。


サトウサンペイ氏は、もうひとつ小さめのカバンを準備して、直ぐに取り出す可能性のあるものを入れて、機内持ち込みを勧めている。

ボクは貨物室預けのスーツケース1個と、手荷物のリュックサックの2つでどこでも出掛ける。

載るまで、着くまで:
お休み中や、乗り換えで、乗りそこなわないために。

スピーカーはガーガー、英語はひどいナマり。
「今のはたしかフランス語?」、「いやドイツ語だ」、「アッ!10番ゲートと言ったゾ」、「バカ、10分遅れると言ったのだ」、「バカと英語で言ったのか!」

ボクは同乗のだれかをマークしておきます。その人が立ったのでついて行ったら、おトイレでした。


ボクも乗り継ぎはいつも緊張だった。本当に急にゲートが変わったりして、、、。

船の中で:船旅は荷物が増えます
船旅は、「気取る」のも楽しみの一つらしく、パーティーや食事のたびに、彼らは着飾って現れます。
われわれとしても、つましい中にも華やかな朝・昼・夜のファッシオンが必要です。

ブラウス2枚とスカート2枚と靴1足では、どのように組み合わせても、3日ともちません。


日本出発のクルーズ船などは予め荷物は送っておくので、乗船するとそれらは部屋の中に運び込まれている。
下船時も同じ、部屋の外に出しておくと、翌日には自宅に届くのだ。日本の宅急便のシステムはスゴい!

船の中で:男だって、、、
男だって、衣装はけっこういるのです。

サンデッキで昼寝の姿、カクテル・パーティーで笑む姿、潮風に吹かれる姿、モーニング・ティーを片手に持つ姿、エキゾチックな港町をうろつく姿、丘のバーから、白い巨船を見下ろし、バーテンに、「ザッツ・マイ・シップ」と指さす姿、、、、。


ボクの経験からでは、夕食時の服装はいくつか、普段の船内の生活もいくつかの服装を準備した方がいい。それがクルーズを「楽しむ」、につながるという感じだ。

サトウサンペイ氏はマンガ家と同時にエッセイストでもあり、そして旅行家でもあったようだ。多くの旅行経験がないと、ここまでリアルな絵とか文章は書けないと思う。
「スマートな日本人」を50年近く前に読んだ時、思い出したのが音楽家でもあった、ボクの恩師の言葉である。

「音楽で悲しい、嬉しい、その時の状況、感覚などを伝えるのは非常に難しい。ところが絵とか漫画はそれを直感的に万人に伝える事ができる。そういう意味で私は絵描き、漫画家が羨ましい、、、。」

ここに出てくる、マナーに無頓着な日本人モデルの多くは、当時話題になっていた、「ノーキョーさん」ではないか。まだ個人旅行をする人は少なく団体旅行が殆どで、その中で目立ったのが「ノーキョーさん」だった。

サトウサンペイ氏は、この本以外に類似の著書として、文章が主で絵が従の、「ドタンバのマナー」、「ドコカへ行こうよ」などがある。この本を含めて、オークション、AMAZONなどで古本としてまだ手に入れる事ができる

「スマートな日本人」、出版されて50年近く経っているが、今でも役に立つ内容である。