久米島で何してる?(2020−10−08)
久米島はこれで9回目で最初の頃は4泊5日とかでしたが最近では最低7泊、9泊した事もあります。
合計で50日以上、60日近くになっていると思います。

会う人の中には、あれ又来たの、という感じの目で見る人などもいるようになりました。
言葉を交わす人からは、「いつまでいるの?」と大体は聞かれるので、「7泊8日です」、と答えると、「そんなに長い間何するの?」、と言われたりします。

何かを見たり聞いたり、「へー!」、とか、「お〜!、なるほどね!」、とかいうのを観光とするならば、久米島はどんなにゆっくり回っても1日半もあれば行くところはなくなる島です。

ツアーの中には那覇からお昼頃に着いて、そのまま夕方まで観光して(つまり半日)ホテルで一泊、翌朝のフライトで那覇経由本土のどこかに帰るという、久米島は沖縄旅行の付録みたいな感じで訪れる人も少なくありません。

久米島は石垣とか宮古と違って、「観光化に失敗した離島」、という人もおり私もそんな気がしないでもありません。
じゃ、そんな久米島に1週間以上もいて、やっぱり疑問として、「何やってんの?」、となります。

答えはひとつ、「何もやってません」、です。敢えて付け加えるなら、「何もやらない事を目的として久米島に来ています」、という事になると思います。

ヨーロッパでは一般的に夏にバケーションと称して最低2週間、長いときは4週間以上、車を運転してフランス・スペインの南、たまに奇特な連中はポルトガルその他地中海に行って時間を過ごします。

日本人は、「いいよな〜彼らは、1ヶ月近くも"バケーション"で外国で過ごすなんて、何と優雅なんだろう」、と言います。フランス人がバケーションでスイスに行く、なんていうのを聞いて日本人の中には、「日本人も見習うべきだ!もっと長期の休暇を与えるべきだ〜!」、とか言って赤旗を振らんばかりの連中がいたりします。

彼らのバケーションとは行った先でどのように過ごしているか、これを知っている日本人は今でも割と少ないように思います。

行った先ではあちこち観光に出かけて、毎日おいしいものを食べて、たまにショッピングなどをして優雅に過ごす、、、こういうイメージを持つ人は今ではかなり減りましたが、それでもまだまだかなり多くの人が持っている感じがします。

私がいた会社のフランス、ベルギー、ドイツなどの駐在員から聞いた限りでは彼らのバケーションとは一言で言えば、「何もやらない事を目的として南に行く」、という事になります。私の久米島行きと同じです。

彼ら独特の事情として敢えて言うならば、「太陽の光を浴びる」、ということが入るかもかも知れません。

これはアメリカ人も同じでした。休みはヨーロッパ人のように4週間とかはとりませんが、それでも2週間くらいとってオハイオからフロリダに行く、という連中が結構いました。

余談ですが有給休暇はこういうバケーションに使うために与えられるもので、病気は病気休暇、家族の不幸などで休むときはそれ専用の休暇があるので日本のように、「何か緊急の用事で休むため有給休暇をとっておく」、というのはありません。

有給休暇をとるとボーナスの査定に反映する日本の会社があるのを私は知っています。もちろん本人には知らせません。これは違法であるのは明らかですが、まだこういう事を平気でやる会があります。

話を戻してフロリダに行く彼ら、彼女らに、「フロリダで何するの?」、と聞くと、「プールで泳いだり、BBQやったり、散歩したり、リラックスをします」、という返事でした。要するに、”普通”の休日の過ごし方をする、と言っているのです。

「久米島で何もしないで過ごす」、と言う私の答えに対する次の質問は大体が、「それはわかったけど飽きないの?」、というものです。
私は「飽きません」、と答えます。すると多くの人は、エー、とか言う感じの目で私を見る人がいます。

私は何もしないという言い方をしますが、実際はプールサイドで読書をしたり海を眺めたり、ウオーキングをしたり、夜は刺身とか沖縄料理をつまみに泡盛を飲んだりします。
そして天気のいい日には景色のいいところに行ってそこで海と空を眺めて時間を過ごします。
弁当とお茶を買って誰もいない展望台でゆっくりとお昼を食べたりもします。

多分こういうのは皆さんの言う、「何かをする」、中には入らないと思うしひそれぞれ説明してもあまりにも普通の事なので私は、「何もしない」、と答えるのです。

景色のいいところは久米島には一杯あり、私が気に入っているの場所としては8カ所ほどあります。景色がいいところとは海と空と島の緑のミックスがダイナミックに見えるところで、それは天気と時間で大きく変化します。

私は島内のこれらの場所に自由に行くため滞在中は全期間レンタカーを借りています。宿泊しているホテルは少々くたびれていますが一応リゾート・ホテルと名乗っている、ロビーから50〜60mも歩くとイーフ・ビーチという久米島の中でもっともきれいなビーチがあり、このホテルも私は気に入っています。

私が宿泊しているホテルには海洋深層水を使った大浴場があります。この大浴場は湯に入りながら沖縄の蒼い海と空を眺める事ができ、私は大いに気に入っています。

久米島は海洋深層水を使った発電その他の実験施設がありますが、前向きに何か進んでいるという事は聞いていませんでした。
ところが先月防衛省から海洋深層水の取水設備能力拡張計画についてその支援をする旨の回答を得て、大きく進展する事になったようです。

海洋深層水は様々な用途で利用価値があり、将来的に非常に有望な"資源"です。取水施設は日本では20カ所以上あり、その中で久米島の施設は1.2を争う取水量・取水水深です。

私は何年か前に施設の見学に行ったことがあり、アリゾナ出身の若い白人のアメリカ人が説明に出てきたのにはびっくりしました。
彼は学校を出て直ぐにALPの教員として南大東島に赴任、任期を終えて久米島に移住、そして宮崎出身の日本人女性と結婚をして現在は海洋深層水利用研究施設で働いているとの事でした。

非常におとなしい(悪く言えば迫力がない)、日本人のような感じがする青年で、アメリカではこういうタイプは結構キツいだろうな〜、と一目でわかりました。

久米島は車でぐるっとゆっくり走っても30分〜40分で1周できる人口8000人の島です。宮古や石垣のように観光客ズレしていません。
また幸いな事に中国人・ブラジル人とかの外国人もいない島で、今となっては私の住む鈴鹿市などより人情も含めてずっと日本的な場所かも知れません。
それはともかく、「何もしない」、を目的に久米島にはこれからも時々来たいと思います。