お金の価値とは(2021−06−20)
1ヶ月以上前になるがオハイオコロンバスで黒人の十代の少女3名、少年2名が夜中の1時頃に公園でパーティー中に何物かに銃で撃たれ、その中の16才の女子高生が死亡した。
公園はダウンタウンにあって、ボクは昼間に車で横を通り過ぎた事が何度もあるが17:00以降は絶対に近寄りたくない場所だった。
彼等がやっていたパーティーはWEB新聞記事の中では"illegal pop-up party"となっていた。

それはともかく、事件を調べているうちにボクがよく行っていた日本レストランの広告WEBサイトに行き着いた。
WEBサイトには店の外観、中の写真もあって以前と殆ど変わっていない。

このレストランは非常にきれいで中も割と広々しているし、アメリカでよく見掛ける、"なんちゃって日本レストラン”ではない。時々メールをくれる寿司職人のHさんの写真も出ていた。

ちなみに今ではアメリカ・カナダの日本レストランの殆どの経営者・調理人は日本人ではなく半島人と中国人だ。コロンバスでも10軒以上”Japanese restaurant”というのがあるが、2〜3軒以外は全部”Non Japanese”だ。

WEBを見てちょっとびっくりしたのが久しぶりに見たメニューの値段である。結構高くなっている
オハイオはこれらの値段に sales tax + surtax が約7%くらい、さらに最低15%程度のチップを払う事になるので、実際の支払いはこれらを加えた額になる。

チップはボクがオハイオに行ったとき、日本人の間では10%が目安とか言われていた記憶がある。ボクは職場のアメリカ人に聞いてみたところ、最低15%と言われたのでこれに従った。

ボクのやり方はチェックに書いてあるtaxを切り上げして2倍にして払うようにしていた。
例えばtaxに$6.80とあれば$7X2=$14、気分次第では更に切り上げして$15とか。

ヨーロッパではVAT(消費税)が20%〜25%くらいの国が殆どで、更にチップのある国だと結構な金額になる。日本は消費税が10%でみんな死にそうだと言っているが、そのうち15%〜20%になるのは間違いない。

ナゼかって?コロナでバラマキ緊急経済対策を実質的に100兆円以上やっているので、それを埋め合わせるには増税しかないからだ。

消費税1%で2兆円ちょっとの税収になるらしいので、10%から15%にアップしてもコロナの埋め合わせをやるには10年以上はかかる、という計算だ。

話は急遽飛躍するが、ボクはいつも頭の中でこういう計算をやるのがクセになっていて自分でも呆れるが、テレビなどでアナウンサーがしゃべる様々な数字のトリックを見破るのも趣味(?)の一つだ。

一番単純なのは、「25%もXXが減少しました」、と言う場合、その母数を言わないで25%だけを強調する、次に多いのが母数を自分達に都合のいいものを本来の母数から切り取って使う、という方法だ。逆に母数の水増しというのもやられている。

いずれにせよこの前政府から10万円もらったと無邪気に喜んではいけない。これは我々の借金である。呉々も政府からのプレゼントなどと思ってはイケナイ。政府から押しつけられた我々の借金である。
借金であるから返済しなくてはいけない。近々にその返済を政府はいろんな形で要求してくる。間違いなく。

話を元に戻す。
ボクがWEBサイトで見たコロンバスの日本レストランのメニュー、全部ではないが主要な料理の値段が載っていた。その中からサンプルを取り上げてみる。それぞれメニューューに出ていた値段、TAXとチップ15%を入れた値段、そして1ドル=110円で日本円に換算してみた。

品名 価格 税チップ込み 円貨換算
2〜3人用の寿司の盛り合わせ $70 $85 9400円
並寿司1人前 $24 $29 3200円
弁当定食(上) $29 $35 3900円
天ぷら盛り合わせ $21 $25 2800円
チキン照り焼き $18 $22 2400円
天ぷらうどん・ラーメン $13 $16 1700円
ローカルビール小瓶 $4 $5 600円
熱燗1合徳利 $7 $9 900円

これらはほんの一部でこのレストランのメニューは多分コロンバスで一番豊富で今も同じだ。ボクが最後にここに行ったのは6年くらい前でその時はよく覚えていないが、改めてこうやって円貨ベースで見るといい値段である。

ちなみに昨年ホノルルに行った時に入った小ぎれいな日本レストランでは熱燗日本酒一合が$12、TAX+チップ込みで計算すると$15(約1700円)となる。観光地という要素を引いてもなかなかの値段である。

日本と違うのは寿司とか丼物以外は量がそれぞれ日本の1.5倍、中には2倍くらいのもある。とにかく全体的に量は日本よりずっと多い。特にアメリカ人の客が多いレストランは顕著だ。

例えばトンカツを頼むと1人前で2枚と言った具合だ。最初は何かの間違いじゃないかと聞いてみたら「1枚じゃアメリカ人の納得できる量ではないので2枚にしてます。」、という返事だった。

だからボクはオハイオにいる時日本に出張して日本の料理屋とかレストランに入って何かを注文すると、「これは量を絶対に間違っているか、ワザと量を極小にして出している。」、と疑ったり。これは本当だ。
しかし直ぐに、「あっ、ここは日本だった。」と気が付いたのだが。

いずれにせよ、このメニューの値段はボクがいた頃の1.3〜1.5倍くらいになっていた。

レストランのメニューを見た後ボクは久しぶりにボクの住んでいた家がどうなっているか検索してみいた。何と売りに出ていた。売値はボクが日本に帰るときに売った値段のこれも同じく1.5倍になっていた。

ボクはこの家を1996年(築4年物件)に買って2010年に売った。帰国する時はリーマンショックの影響がまだ残っており、目論見より値下げざるを得なかったがそれでも買ったときの1.3倍くらいで売れた。
つまり
今の売価は1997年にボクが買った時の2倍になっているのだ。

1995年にアメリカに転勤になったとき
アメリカの物価全般の安さにびっくりしたものだった。日本より高いな、と思ったものはクリーニング代、同じくらいかなと思ったのはマクドナルドくらいで(量は全く違ったが)、あとはえらく安く感じた。ビールは12本で$7〜$8くらいだったのでボクは嬉しくなったものだ。

逆に言うと日本は何もかもアメリカに比べるとモノが高かったのだ。

為替レートは当時も$1=120円くらいで今と大きな違いはない。

今の日本人の収入がアメリカと同じように1.5〜2倍になっていれば1万円札は昔と同じ威力かも知れない。
しかし日本の物価は上がらず、収入も上がらずで
円の相対価値がグンと下がっているのだ。

これはタイ、フィリピン、マレーシアなどの東南アジアの国々の通貨と物価に対しても言える。
かつては日本でもらう年金(円貨)でタイでそれなりの暮らしができたが今は違う。
30万円を手にしても以前の30万円と同じような威力はない。

為替レートに大きな変化はないのだが、これらの国々は物価が上がり彼等の収入も同じように上がっているのだ。日本だけが物価も上がらず給料も上がっていない。
外国からみると日本は以前より物価の安い国になった。

例を超簡単に示す。
コンビニで買える400円のお弁当、これで昼食を済ませる人は多い。お茶を買って500円くらいか。
では
アメリカで$4ドル50セントでちょっとした昼食を済ませられるか?最低$8〜9は必要だと思う。つまり1000円くらい持っていないとまともな昼飯は食えない。かなり荒っぽいがこういう事だ。

外貨ベースでその国の物価を見た場合、
我々はいつの間にか相当な貧乏になっている、、、そしてこの傾向はまだまだ続く。日本だけが確実に沈んでいる、そういう事である。