ウクライナとロシア(2022−02−17) |
飛鳥Uにはビスタラウンジという眺めのいい大きなラウンジが船首にあり、ボクらはここをよく利用した。海を見ながらのコーヒー(ボクは多くの場合麦ジュース)はなかなかのものである。長期のクルーズ、例えば世界一周とかの場合はここでゆっくりと本を読むなどは最高だと思った。 こういうラウンジの係は殆どが外国人で男性はフィリピン人、女性は俗に言うスラブ系の、あのゲルマン系とかとかとは違う白人、つまりナターシャである。 ボクはニコニコした愛想の良さそうなナターシャにお国を尋ねてみた。答えは「ウクライナ」であった。 ああ、そうかやっぱりナターシャはウラル山脈の西から出稼ぎに来ているのか、と思いつつ、「じゃキミはロシア語を話すんだよね。」と言ってしまったのである。 ボクも何という無知であったのか、ウラル山脈の向こうは未だにロシアでウクライナもその一角だというぼんやりした感覚があったのだった。 ソ連崩壊後は国は別になったが、所詮ロシアとは一心同体の関係くらいに思っていたのだ。(無知とは怖ろしい) するとナターシャはびっくりするくらいに表情が豹変、「違います!私はウクライナ人で私はウクライナ語を使います!」、大きな目でボクを睨んでプイと横を向いて行ってしまった。ボクもびっくりしたがカミさんはそれ以上にびっくりしたようだった。 ウクライナ人にとってロシアはかついて祖国を乗っ取った、許しがたき最大の非友好国なのだ。そしてウクライナ人の中にはソ連時代でもロシア語を絶体に使わない人達がたくさんいたのである。 冗談でもそんな事言うな!そんな感じの迫力だった。 ボクは20世紀以来のウクライナとロシアとの関係、特にソ連崩壊後の2013年頃の出来事などをよく知らなかったのだった。 いずれにせよウクライナとロシアの関係はその後詳しく調べたが、日本人のボクには実感として涌かない複雑、そして深刻なものである。 レベルは月とスッポン、全然違うがボクも日本人として何となくモヤモヤした感じになった経験がある。 ニューヨークの地下鉄で若い女の子(学生風)にある所への行き方を聞いたその後その女の子から、「ところで貴方は中国人?」、と聞かれたのである。 ボクは若干不機嫌に、「いやいや。」と答えるとボクの顔をジーッと見て、「わかった!韓国人でしょ!」、ときた。 再び、「違いまっせ」、と言うと困った顔をして熟考する事1時間(ウソ、数秒です)、「日本人?」、と小さな声で言われた事があった。 やっぱりあの場合ボクもこのナターシャと同じ態度でなくっちゃダメだたんのだろうか。ま、アメリカでは”東洋人=中国人”だからこれはしようがない事だね。 |
ボクの知人のひとりにウクライナとあるビジネスをやっている人がいる。 ボクよりも先輩であり、超有名な世界中の人が知っている弱電メーカーで製品開発をやって来た人だ。彼は国際情勢にも極めて明るい。 この人と先日ウクライナ情勢について雑談をした。所詮何の益もない雑談であるが、2人の意見は次のような内容で大体同じ、というか一致した。 ウクライナ問題で日本にとって重要なのは、中国がアメリカとロシアの動きをどうみるか、である。 アメリカがロシアに対して影響を与える事ができないとなれば、中国はバイデン政権はオバマ政権と同じく弱腰と判断、それは台湾問題などの進め方に大きく影響を与える。 中国は既に台湾に対し威嚇行動を続け、台湾はアメリカなど西側との関係を強化している。 中国の台湾侵攻で中国が一番気にしているのはアメリカの出方であり、ウクライナ問題でアメリカがどういう行動をするのか中国は最大に注目している。 アメリカがロシアの行動を抑止できなければ中国の台湾侵攻にとってプラス材料になる。 中国海軍と空軍は急速に増強されており、実力行使能力は十分にあると中国は思っている。 こうなれば日本は尖閣列島、沖縄を巻き込んだ有事になるのは必至である。 そして中国は日本に強烈な経済的な圧力をかけてくるだろう。日本は中国に食料を含め、あまりにも経済的に依存をし過ぎている。 中国は日本に対して何をどうすればいいのかそのプランは完全に出来上がっているのは間違いない。 つまり"日中関係=米中関係"である。ウクライナ問題とは中国にとってアメリカの政治力、西側の結束力、軍事力を見定める絶好の機会である。 ウクライナ問題は日本人の多くは身近な問題とは捉える事ができていないし、NHKのBS放送などはロシア側の言い分ばかりを放送してアメリカ、西側諸国は何を問題としてどうしようとしているのかさらっとしか報道しない。 ボクらは本当に正しい情報を手にしているのか、まあこんな何の薬にも立たない話をして終わったのであった。 |