ボクと日本酒(2022−03−01)
コロナで旅行に行けない。そこでせめてもの気晴らしに先週も会社の保養所に行ってきた。場所は鳥羽市、ボクの住まいから75km、ゆっくり運転して2時間弱で行ける。

広い清潔な部屋でくつろぎ、大浴場で全身を癒やし、夕食にちょっとだけ美味しい料理で一杯、パターンはいつも同じだがこれもいいものだ。

ボクが夕食で頂く日本酒は何年か前から”八兵衛”という三重県の地酒である。ボクは夕食が和食の時はビールは飲まない。和食の場合、ビールは料理の味を引き立てる役割を全く演じてくれないからだ。

ビールは風呂から上がって部屋で500mlを1本頂く事にしている。

ボクは50才を過ぎた頃からか日本酒が好きになった。それまではあまり日本酒というのは飲まなかった。

日本酒を飲むようになったのはタバコを止めて、その分のお金でちょっとだけいい日本酒を買うようになったのっがきっかけだ。

当時アメリカに住んでいて、日本で造った日本酒を日本食材マーケットで買うと日本の3倍の値段がした。
ボクは大吟醸の”冬雪花”を飲むようになったのだがこれは1本70ドル以上、税金を入れると8000円相当以上した。(日本では当時3000円くらい)

それまで2ドル50セントのタバコを1ヶ月に40箱吸っていたので、まあ月に2本くらいまではいいんじゃないか、という事でこれを口にするようになってから日本酒に開眼したのである。

現役を退いてからはこういう高いのは何か節目のイベントの時しか飲まなくなったが、そんな時に吟醸酒ではないが三重の地酒、”八兵衛”に出会ったのであった。

自宅マンション裏のスーパーで八兵衛は売っていないので、鳥羽の保養所に行った時に鳥羽高校前のスーパーで買うようにしていたが、この前近所のもう一つのでかいスーパーで八兵衛を見つけた。

そんな訳でボクは日本酒を週に2〜3日、燗、冷や、ロックで頂いている。杯もちょっとだけ凝るようになった。
太田和彦みたいに何百個も収集するつもりはないが、それでも江戸切り子、薩摩切り子、清水焼、というようなものから、1個300円くらいの無名のものまでいつの間にか50個ほど集まった。

台湾に行った時は台湾の何とか焼きの杯を買った。ニューヨークのMOMAでは造形デザイナーの日本酒の杯に使えそうなのを買った。
チェコではボヘミアングラス
の素晴らしい”徳利”(多分これは花瓶)を見つけたので買った。ある国道沿いの道の駅で地元の陶芸家が作ったという杯を買った事もある。

アメリカと日本を頻繁に往き来していた時、JALのマークの入ったワイングラスが気に入ったのでCAに、「これもらっていい?」と尋ねたところ、「私は見てないことにします。」という返事だった。このワイングラスで冷酒を飲むのもいい。
また家飲みで意外といいのが湯飲みである。これは引き出物などの有効活用でもあるね。

アチコチで手に入れた思い出の杯で日本酒をチビチビ、ボクもこういうのが楽しい歳になったのだな〜、、、。

アメリカにいた時に日本からの出張者に会社でお土産に四合瓶の日本酒を頂いた時の事だ。手提げ袋に入った日本酒を持って自分の席に戻って引き出しに入れようとしたら前の席のBさんから、「SHINさん、私はそれが何なのかわかりますよ。Sake(酒)でしょ?」、とニタッとして言われた。

彼はこの会社に20年以上いるし日本人が日本からお土産に何をもらっているのか、外観でわかるのだった。
「これか?これはね、、、special water (特別な水)だよ。Sakeとは言わない。」。さあ、ここからが大変。

何だ何だともう2人くらいが寄ってきてニヤニヤしながら、「SHINがこれはwaterだと言ってる。」、とかなってしまった。
そこで、、、ボクは"般若湯"の話をやったのである。般若湯の最初の説明だけで2〜3分掛かったね。

ボクの伯父のひとりが僧侶で、ボクが高校生だったかの時に般若湯の話をしてくれた記憶がある。
この時の話で般若湯の意味は"智恵のお湯"というのを覚えていたのでこれを説明しようとしたのだった。

たとえ話(?)でボクが、「キリスト教の牧師さんも禁酒だろ?でも食事の一部だとか言ってワインを飲むじゃないか、あれと同じ。」、とか言ってしまったので、みんな混乱の極み。

ボクは日本語の"智恵"を英語で言えなくて、最後には辞書のお世話になって説明をして何とか理解してもらった。
般若湯は”智恵のお湯”、つまり"wisdom hot water"であった。

この話はボクが定年を前に日本に帰国する時の送別パーティーでBさんが数人の他の社員に、「Shinはね、こんな話をしてくれた事があった、、、」、と思い出話として紹介をしてくれた。彼はよく覚えていてくれたのであった。

日本では仕事中にこういう話をするのはよろしくないとされるが、アメリカでは普通にやった。アメリカでは仕事中にこういう話をするのはむしろ”いい事”であるのをボクは後日知った。
あるアメリカ人から、「日本人は仕事の話しかしないね。」、というのを聞いた事もあった。

アメリカでは職場でも仕事以外のちょっとした雑談が人間関係を築くのに非常に重要で、ボクはこれを5〜6年目くらいから割と自然にできるようになったのを覚えている。

アメリカで買う日本酒は前述のように日本から輸入したものはかなり高価であったが、アメリカで造っている日本酒の中には非常に廉価なものもあった。

カルフォルニアで造っている大関の1.5リッター瓶(一升瓶はなかった)がオハイオでは10ドル、シカゴのミツワマーケットで買うと半分の5ドルだった。
(今は1.5〜2倍くらいになっているかも)

こういうアメリカ産の日本酒には防腐剤が入っており、味はイマイチだったが燗で1〜2合頂くには十分だった。

ここ2年間行ってないが、ハワイ・ホノルルのちょっとした日本レストランでは燗の7勺徳利が12ドル(約1500円)程度だった。
ハワイにも日本酒造りの会社があり結構な値段のものもあるが、レストランの燗酒はボクの舌にはあの大関と変わらない味だったが、、、。

いずれにせよ日本酒は日本で地元の造り酒屋のものをあれこれ飲んで、自分の口に合った銘柄を探し当ててそれを頂くのが一番だね。