いつもの読書感想(2022−07−16)
新しいPC(DELL LATITUDE 3250)を使い始めて1ヶ月ほどになる。インストールした各種ソフトウエアのカスタマイズも9割が終わった。処理速度も速く、小型軽量、画面も明るく気に入っている。

ただ一点、今回のPCで失敗したかな、と思っているのは英語配列KB(キーボード)にした事である。
ボクはアメリカでの15年間と帰国後の約4年間は英語KBを使ってきた。

その後購入したPCは日本語配列KBを使っていたが、今回のPCは再度英語KBにカスタマイズして購入した。理由は英語KBは見た目がすっきりしているのと、20年近く使っていたので何となく懐かしかった(?)からである。

しかし使ってみて即、気が付いた事があった。
それは英語KBは、エンターキーが日本語KBに比べてウンと小さいのだ。シフトキーより小さい。

理由は英文操作では、エンターキーを殆ど使わないからである。英文は改行も日本語より少なく、そして漢字変換という操作がない。

ところが日本語は"漢字変換"の都度、変換候補の中から選択・確定をエンターキーで繰り返す。つまり日本語は英語の50倍くらいエンターキーを使う。

よって日本語KBのエンターキーは、使いやすい位置に少し大きく作ってあるのだと思う。

ボクは右小指でエンターキーを操作するが、エンターキーを叩くつもりが上のキーに触れて頻繁に"¥"を出してしまう。以前はそんな事はなかったのだが、トロくさくなったのか。

それと英語KBでは漢字変換モード切替が"ALT"+"`"で使いにくい。これはキー操作機能を"Ctrt"+"Space"にカスタマイズした。キーは他にもいろいろ配列が違うが、所詮A〜Zキーの配列は同じなので小指の動きを慣らすだけ、と割り切るしかないね。

ちなみに持ち運び用のE7390は日本語KBである。ボクは二刀流ですゾ!と負け惜しみを言ってるのであります。

相変わらずの読書三昧の日々、ここ2〜3週間で読んだ本の中から、3冊についてその感想を残す。

■ 青木直己(著)「幕末単身赴任、下級武士の食日記」:生活人新書

時は幕末、万年元(1860)年、紀州和歌山藩の勤番侍・酒井伴四郎が江戸での単身赴任中に書き残した詳細な日記帳を元に、江戸のグルメを紙上再現、、、とある。

伴四郎は安い材料を買い求めて自炊をしつつも、頻繁に行う宴会料理を準備したりする。

江戸のあちこちを見物しつつ、浅草では寿司を食べ、王子権現の料亭では贅沢をしたりする。その詳細が実に興味深い。
酒井伴四郎はこのとき26才、30石取りの下級侍であった。

ボクはこれほどリアルに江戸勤番侍の日常生活を描いたものは、今まで読んだ事がない。

江戸勤番の出仕(勤務)は1年間で約50日程度、しかも午前中の2〜4時間。驚きである。羨ましい、、。
あとは物見遊山、寺社への参拝、食べ歩きetc。

男子厨房に入り、伴四郎は実に小まめに動いて自炊している。生活のペースはのんびりしたものであったようだ。
侍(家族を含む)は当時の日本人口の7%程度であったが江戸は人口の50%が侍であった。地方からの単身赴任の勤番侍が江戸には溢れていたのであろう。

江戸とは侍の都市であり、その侍がどんな生活をしていたのか、これを知る絶好の書である。

■ 戸高一成(編)「海軍反省会(1巻〜11巻)」:PHP

大東亜戦争開戦時30才から50才の少佐〜中将クラスの証言集である。証言者は海軍省・軍令部の局長・部課長、艦隊司令官・隊司令・艦長などの指揮官、部隊司令部の参謀、ドイツ・スエーデン・スイスなどの駐在武官、技術領域責任者などである。

普段我々が多く目にする太平洋戦争の記録は、士官では中少尉クラス、そして下士官・兵の経験した”戦闘”についての記述が殆どである。

これらはボクのやっている歴史研究に必要な資料としての価値は低いが、この証言者達の発言記録は違う。

1980年〜1991年までに非公開の会合が131回開催され、その400時間あまりの録音テープから本書は起稿されている。

著書は全部で11巻、合計7000ページ近くあり、内容も複雑で読み始めて1年半以上経つが、やっと8巻を読み終えた。

開戦に至った経緯、その後の作戦、終戦工作などについて、証言者は当時の中心的存在者達で、内容は極めて重く、そして濃い。興味深いのは海軍には外と内に2つの敵があり、外に米英、内に陸軍があった事だ。陸海軍は巨大な官僚機構でもあり、この縄張り争いの体質は現代の官僚組織でも、何ら変わっていない。

今年中に残り3巻を読めるかどうか、、、。読み終えたらボクなりの総括をやってみるつもりである。

■ 丸橋賢(著)「退化する若者達」:PHP新書

若いくせに元気がなく、動きが鈍く、疲れやすい。精神的に虚弱で学校や仕事が続かない。若年層を襲う心身の不調や学力低下の原因は何か。

筆者は歯科医であり、人間を一つの生物という視点で最近時の若者の退化を分析をしている。異常な過保護が若者を包み、日本人は急激に退化している。
この退化は高度成長期から約50年という短期間に現れた現象であり、これは人類学史上あまりにも短い時期に起きた変化、としている。

ボクは世間で言う団塊の世代を直近の先輩として育った世代であるが、自分の少年時代・青年時代と比較した場合、今の同世代は何か違う。

ボクは彼らを動物として見た場合、様々な面で基本的生命力が萎縮・低下している、と常々感じていた。
それが本書を手に取った理由であった。

例えば引きこもりはナゼ起きるのか、新卒で会社に入っても3年で50%が辞めてしまうのはどうしてか、それらの原因も生物としての日本人の退化で説明がつく。

優しさごっこ、文化の形と質の崩壊、このようなキーワードからの分析も非常に興味深い。
では退化と淘汰を吹き飛ばすにはどうすればいいか、最後の章の現実的提言も注目するに値する


ボクは読書をして気になった事などは、以前はB6の情報カードに整理をしていた。しかし何年か前に止めた。
この方法は学者先生のような人が、特定のテーマ研究について行うにはいいかも知れないが、ボクのように雑多なジャンルに対するメモの用途には向かないのだ。
ボクの場合、やはり単純なノートがいい。

今は読書をする根気は衰えていないと思うが、いろんな先輩に伺うと段々根気がなくなってくるそうだ。
そんな訳で朗読のCDに切り替えたという方もみえる。
ボクはまだ大きな変化は感じないが、そのうち何かあるのだろう。マイペースの読書をいつまで続けられるか、、、。