2023年大予測(2022−12−24)
ボクは”週間東洋経済”を定期購読している。記事は経済に関しての記事が中心で、スポーツ・芸能・三面記事関連などは基本的にない。そういうのはネット情報で十分だ。類似雑誌に”週刊ダイアモンド”などがあるが、ボクは東洋経済の方が読み慣れているせいか、好きだ。
今年も年末特集号の「2023年大予測」が送られてきた。A4版で240ページで普段の2倍。
108項目のトピックについて、経緯・現状・予測が見開きの2ページ(一部記事は1ページ又は3ページ)でコンパクトにまとめられている。大まかな括りとしては次の通り。

1.世界の政治経済: 世界経済の流れ(ウクライナ侵攻から、円安、インフレまで)
2.日本の政治経済: 23年の経済の焦点(エコノミスト、学者、経営者による)
3.産業・企業: トップ企業23社経営者アンケート、IT、EV、インフレ、値上げ、50業界天気予報
4.お年玉ランキング300(株式相場): 大化け期待銘柄国内16、米国4、他
5.スポーツ・カルチャー: 2大イベント(WBCとラグビーW杯)
6.学者、経営者スペシャルインタビュー(外人2名、日本人7名)

重要なのは1〜4、図表、写真入りで読みやすい。(とボクは思っている)夜中にウイスキーを舐めながら読むにはうってつけの雑誌だね。ボクは500円相当、一冊で買っても880円だ。(去年は780円

ボクは前年号、つまり「2022年の大予測」も残してあり、2023年の大予測を読む前にまずこれをパラパラ読んでみる。つまり1年前の予測と、その1年後にそれが実際にどうなったか比べてみるのだ。誰でもできる楽しい”検証”と言えるかも。

先ずウクライナ戦争の件は予測できていたか?日本の政治経済学者先生、エコノミスト諸氏他、全員不合格。ウクライナのウの字も出てない。

しかし外国人にはちゃんいたね。米エネルギー省長官の諮問委員会元委員、現IHSマークイット副会長のダニエル・ヤーギン氏である。
この人は世界のエネルギーについての見通し解説の中で、"ロシアがウクライナ国境に10万人以上の大兵力を展開"に注目、過去のロシアの行動分析からウクライナ侵攻が起きる事を強く臭わせていた。

取材はいつ行われたのか書いてないが、2021年11月くらいであろう。北京オリンピックの何ヶ月も前からロシアは作戦行動に入っていたのである。

アメリカのインフレと利上げ、コロナ相場暴落、これは当たり、というより既に共通認識だったので「いつ?」だけが焦点で、それは2022年後半となっている。当たり。

日本の利上げへの言及が殆どなかったのは、今となっては不思議と言えば不思議。ま、予測だったのでその辺は大目に見ておこう。

習近平の国家主席3期目、中国経済(特に不動産)の成長ドロップダウンも当たり。コロナは中国政府発表の感染者数・死亡数が非常に少ないにも係わらず、行動制限の厳しさにボクは大いに疑問を持っていた。このギャップをどう捉えるか、何ヶ月か後にアメリカのメディアがちゃ〜んと、一言で解説してくれていたね。

韓国の大統領選挙で反日政権が出て、日本にまだまだまだ噛みついてくる、という予測、半分当り。外れる方が不思議だね。噛みついてくれば水掛けてやるだけの事なんで、特に利用価値のない予測だね、これは。

連合の芳野友子さん、「モノ・サービスを適正価格にしないと給料は上がらない。」、たまにはいいこと言うな、と思っていた。
連合としての取り組みは春闘で4%の賃上げを目指す、だった。実績は2%(うち1.8%は定昇)

車のEV化について各社の取り組みが書いてあったが、予測と言うより只の解説。でも中身が深掘りされてない。浅かった。

コロナでダメージを受けたホテル・レジャー・鉄道・交通は依然厳しい、となっていたが、これを予測と言うなら当たり。

多くの学者先生は、”これからは人への投資”を盛んに言っているが具体的な方法論は少なく、基本的概念だけネチネチ。面白くなかった。人への投資はこの時点で既に岸田政権既定の方針で、予算化もされていた施策である。

「岸田政権は空虚なスローガンだけで終わりそう。」、これは全くの外れ原発再稼働、防衛力強化、増税、エラいことやってくれたじゃないか、もう。

防衛費はGDP比2%への増額だけでは自衛隊は強くなれない、隊員不足など装備強化と同時にやることが一杯ある、とか書いてあった。これも予測ではなく、施策に対する意見であった。そのとおり、と言うしかない。

その他一杯あるが、記事は予測というより注目点は何か、という観点で目を通すのがいいかも知れない。1年前の記事を引っ張り出してそう思った次第である。

2023年の予測。
ウクライナ戦争は終わらない、中国は経済発展を優先、台湾侵攻可能性は低い、日本の防衛は「一国平和主義」から脱却せよ、ロシアはガスを武器に世界を翻弄、世界経済は脱中国化の方向、プーチンはトランプ政権を心待ち
、etc。

日本のエコノミスト17人の予測は、、、予測外れを恐れてなのか、みんな割と曖昧である。しかし2023年の経済は2022年に比べて良くなる、という予測が大半なのが目を引く。
では景気回復の主因として大きいのは何かと言うと、個人消費の拡大となっている。でも個人消費が拡大する因子ってあるのか?ボクは大きくはないと思っている。

2022年版では60業界の好調・回復・苦戦の予測が書かれていたが、2023年版では50業界に集約され、ベスト・シナリオとワースト・シナリオの2つの予測が書かれている。
記事全体もそのような書き方に変化しており、それぞれの要素予測が割とわかりやすく書かれている。ここは以前とは大きく変化したところだ。

ところで気になる株価の予測はどうなのか。2023年は一旦下落後、年末に向け日経平均3.2万円!。ちょっと待てよ、これって去年と全く同じ予測じゃないか。あれ?コピペか?と一瞬思ったくらいだ。
では今年の実績はどうだったか?年末は2.6万円を切りそうな勢い、年度の最高値でも2.9万円だった。こういう予測は投資家の注目を集めるために、どうしても高めになるのは仕方ない。

いずれにせよ、来年はどうなるのか、、、。