雪の京都(2023−02−01)
昨年の暮れまでは1月になったらタイにブラッと行こうかと考えていた。しかし引っ越し後というのはやはりいろいろとあるもので、バタバタしているうちに結局は行くのを諦めた。

まだコロナの流行は治まっていないし、気持ちとして積極的に「行ってみようか!」とはならなかった、というのもあった。引っ越しは11月だったが9月からリフォーム工事に入っており、9月に東京見物に行った以降は約4ヶ月間どこにも行っていなかった。

そこでやっぱりどこかに行ってみようか、という事になり近場のいつもの京都に行ってみた。
京都はコロナ感染が流行し始めた2020年の春以来、これで6回目であるが特に観光をするという目的でもなし、ただ日常の生活に変化をつける、という程度の理由である。

いつもは7時ちょっと過ぎの近鉄特急に乗って、車内でサンドイッチとおにぎりの朝食を食べながら行くのだが、今回はゆっくりと11時頃に乗って、というスケジュール。

この時間帯だと通勤客もいないせいか、近鉄特急はガラガラで20〜30%の乗車率だった。

京都駅に着いてびっくり、近鉄の改札を出ると通路は人で一杯である。
2年半前のコロナが流行り出した頃を覚えているが、八条口から烏丸口までの、あの長い通路が端から端まで見渡せるくらい人が少なかった。半分くらいは観光客かな〜、という感じだ。

ホテルは駅の上にある"ホテル・グランヴィア"、チェックインには1時間ほど早かったが、やってくれた。部屋は12Fのタワービュー。

タワーとは烏丸口にある京都のシンボルである"京都タワー"。タワーを観る度に「今度こそ上がろう!」と決意をするのだが、まだ上った事がない。ホテルの部屋からはほぼ正面にタワーが見え、京都市内が一望できる。

部屋からは"鞍馬天狗"が育った鞍馬山も遠くに見える。ボクは大佛次郎の鞍馬天狗の大ファンではあるが小説は読んだことはない。

しかし古い映画、それに高橋英樹、目黒祐樹のテレビドラマでそのイメージが出来上がった。
最近では野村萬斎の鞍馬天狗、これはDVDも買って時々観る。オープニングミュージックもいいしね、、、。

京都に行く前の天気予報では1月24日(火)から数日間、日本列島は寒波に襲われ、日本全国にかなりの雪が降る、となっていた。
実はこの雪を狙って京都に出掛けてきた、というのも今回の京都に来た理由に入っていた。

京都は元来、それほど雪が積もるところではないと聞いていた。天気予報を聞いて、あわよくば、あの写真で見る雪景色の風情ある京都の風景が見れるかも、という期待もあって今回は来たのである。案の定2日目の昼前、西本願寺の御堂で説教を聞いている頃から雪が降ってきた。

しかし雪は霙混じりで始末に負えず、「雪化粧の京都」というボクのイメージとは程遠いもので、這々の体でホテルに帰ってきたのであった。

その霙も予報どおり、午後から雪に変わった。
ホテルのロビー横の通路からは烏丸口の改札、ホームの一部がよく見えるのであるが、夕方になると乗客でごった返していた。
その後のTVニュースであちこちの鉄道が雪によって大混乱に陥っている事を知った。

京都3日目の1月25日(水)、雪は何とか止んで貴船から鞍馬方面の山は真っ白、目の前の通りも真っ白になっている。

天気は何と青空が覗く晴れ。世間では交通が大混乱で物流がストップ、水道が凍り断水、日常生活に大きな影響が出ている大雪害である。

しかしボクにとっては雪の京都を体験できるチャンス到来、一番近くの見所である東本願寺に出掛けてみた。道路はアイスバーン状態で簡単に転びそうである。

目の前でオバさんがドサッとひっくり返ったので手を貸してあげたら、ボクもひっくり返りそうになった。白人の若い女の子がガードレール横のポールにしがみついて、動けなくなっていたので声を掛けてあげた。
「スケート、エンジョイしてる?」、「オー、ノー!何でここは塩撒かないの!?こんなに凍っているのに!」。
カナダ・トロントから来たと言ってた。

お東さんに来ている人は少なく、静かな境内だった。

今回の京都では東西本願寺に行ったのみで、あとは地下街とかデパートをブラブラ、飲んだり食べたり、そしてホテルの部屋でゆっくりと寛いで過ごした。
ホテル代は割引があり、また1泊1人当たり2千円のクーポン、つまり合計8千円分のクーポンをくれた。何かお土産を買う計画もないので、1日目のホテルでの夕食の補助に使った。

ホテルの和食割烹レストランは今までに2回行ったが、値段の割に貧弱なメニュー、味は、、、で3回目は行ってない。
しかし最上階の洋食レストランは悪くはなく、毎回1回はここで夕食を頂く。
今回もオマールエビ、子牛のヒレ肉はよかった。

ウエイターのひとりが、この前のボク達の事を覚えていてくれていて、びっくりした。「前もこの席でしたよね。」と言ったのには恐れ入ったね。ボク達はいつも同じ席を予約しているのだ。

朝食は洋食の場合はロビー横の大きなレストランで摂るが、ボク達はビュフェ形式ではなく、セットメニューで頂く。ブッフェは飲み物・料理のレイアウト・ラインが下手で、直ぐに客で混雑するからである。

2日目の朝食時、隣に30才前後くらいの若い夫婦と、そのどちらかの両親と思われる夫婦の4人連れが食事をしていた。中国語である。会話が静か、食べ方が上品、犬食いしない、、、これは大陸ではないな、とボクは思った。

カミさんが声をかけたら案の定、台湾から来た観光客だった。京都に5日間、大阪に3日、東京にも行くと言っていた。ニコニコして非常に穏やかな感じであった。大陸系だと多くの場合、こうはいかない。
これを台湾、大陸双方に詳しいKさんにLINEで伝えたところ、「SHINさん、大陸と台湾は同じ言葉を話しますが、別民族です。」、ボクと全く同じ考えが返ってきたね。

3日目の朝食は和食を頂いた。ここ3年間全く同じメニューである。
全部水っぽい味付けで、イマイチである。ちょっと離れた席では、白人の中年夫婦2組があれこれ言いながら箸を突っついていたが、感想を聞きたかったね。

そんな訳で雪の京都も垣間見たし、ボーッとホテルで過ごして息抜きもできたし、ワインや日本酒なども頂きリラックスできたし、という3日間を過ごした。

最近よく思うことの一つに、この歳になると気分転換というか、自分を取り巻く環境を自分で意志をもって積極的に変えないと、変化がぐんぐん減って行く、という事だ。

現役時代は仕事そしてそれに関係する人達が、それこそボクの意志とは関係なく、ボクの環境をどんどん変化させた。仕事を辞めるとそれが無くなった。
何もしないと昨日と同じ今日があり、今日と同じ明日になるこれではいけない、と思うようになった。じゃあどうすればいいのだ?一番手っ取り早いのが、旅に出る事だとわかった。

グループ・ツアーは別として普通は旅に出ると、否が応でも自分で何もかも決めて、そしてやらなくてはいけなくなる。知らない風景、人と接する。美味しい食べ物に出会ったりもする。

今やボクらの暮らしにとって旅は必須である。