バレンタイン聖人のお陰(2023−02−21)
もう10日ほど前の事になるが、下の娘からバレンタインのチョコレート、もとい、ケーキをもらった。何でケーキなのか、ボクはチョコレートはあまり食べないのを知っており、ケーキをくれたのだった。

バレンタインデーの由来は、3世紀頃のローマ帝国に遡る。この頃のある皇帝が兵士の結婚を禁止した、それを可愛そうに思ったバレンタインという司祭が、この命令に背いて多くの兵を結婚させ、結局は皇帝に処刑された。
その日が2月14日だった、という事らしい。

しかし、である。
ローマ教皇庁は1969年に、このバレンタイン聖人を、2500人くらいの聖人リストから削除しているのだ。

この時は、どうもはっきりしない聖人(実存が疑わしい?)200人ほどを削除したのだが、バレンタイン聖人もこの中に名前を連ねたという事らしい。

ところで、聖人リストには日本人もいる。
豊臣秀吉がバテレン追放令
を出したにもかかわらず、これに背いたスペイン人宣教師ら9名と、日本人信者など17名を秀吉は処刑にした。

この26名はローマ教皇庁の聖人リストに載っている、つまり17人の日本人が含まれているという事だ。また17人のうち5人が伊勢の国(三重県)出身であるのはちょっとびっくりだった。

豊臣秀吉はスペイン人宣教師によるキリスト教の布教に大きな危機感を抱き、これを禁止したのである。
あのまま布教を続けさせていれば日本は南米各国、フィリピンなどと同じ運命を辿っていた可能性は高い。

当時スペイン・ポルトガルなどは植民地獲得のために宣教師を尖兵・スパイとして候補国に派遣、その後で軍隊を送り込む、という方法をとっていたのである。これは揺るぎない歴史上の事実であり、当時の宣教師達が母国に何の情報を送っていたのか、スペインにはしっかり記録が残っている。

ボクはこの辺の歴史について「平川 新著:戦国日本と大航海時代(中公新書)」から知識を得たが、秀吉は当初はキリスト教を認めていた。しかし様々な情報から「布教=侵略」、つまり布教と侵略が一体化しているところを知り、キリスト教の「邪法性」を読み取ったのである。
特にフィリピンのスペインによる植民地化から、これを読んだらしい、とある。

ローマ時代のバレンタイン聖人の伝説を習慣とするのは、ずっと昔からヨーロッパ・アメリカにあった訳だが、この日を「女性の方からプロポーズできると日」、にしたのはどこかの日本人が創作したものだ。
そんな意味はキリスト教徒の国には全くない

また誰に対しても、むやみやたらにチョコレートをプレゼントしなければならない習慣(奇風と言うべきか)も、メイド・イン・ジャパンである。この習慣がはびこり出したのは、ボクの記憶では1980年頃じゃないかと思う。

ボクがよく覚えている事に、本社転勤後の1986,7年頃だったか、総務から「社内便での私物の送付は控えるように」、という通達である。

社内便は事業所・部課・名前だけを書けばそこに書類などを届けるシステムで、これを使って無視できない量のバレンタイン「義理チョコ」が行き交ったからだと聞いた。

義理という考えはアメリカには乏しいのであるが、ボクはアメリカにいた時、バレンタインデーに会社でプレゼントをもらった事がある。
誰からか?それは職場のある黒人のマネージャーからだった。

彼は自分と普段直接関係のある上司、同格者、主要な何人かの部下にプレゼントを配っていた。
プレゼントは確か小さな置物だったかで、それにはメッセージカードが付いていた。

ボクはびっくりしてボクの知恵袋になっていた、あるアメリカ人にこの事を聞いた。

アメリカのバレンタインデーは日頃お世話になっている人に、感謝の気持ちをこめてプレゼントとカードを渡す、という事だった。それは夫婦、親子などでも頻繁に行われるとも教えてくれた。
例えば、息子が母親に、或いは父親に、という具合に。

それとホワイトデーというのは、西欧には全くない。バレンタインのチョコレートをもらった男性に、お返しをさせるために売りつけようとして、どこかのデパートあたりが仕掛けたものに違いない。
ボクは今年は娘からバレンタインのケーキをもらったので、何かお返しをしなくてはならない。
ここは日本だからね、、、。

そんな訳でバレンタインデーで、一体どれくらいのチョコレートが日本全国で売れるのだろうか。
これに関しては簡単に調べることができた。ある大学の先生の調査では、チョコレート等で500億円ほどの売り上げがあるそうだ。
一人当たりの平均単価を2000円とすると2500万(人分)個が売れた事になる。ウソー!と言いたくなる。これが2月14日の前2週間くらいで売れる訳だ。

この先生によると各種波及効果を含めると経済効果は1000億円になるそうだ。GDP比率で言うと0.02%。ボクは目がクラクラしたね。本当かね?と言いたくなる数字だね、これは。
これにホワイトデーの売り上げがどれくらいあるのか。もうバカバカしくなって調べるの止めた。

その存在さえ疑わしいバレンタイン聖人、日本では完璧に商人のネタに利用されている、こういう事だね。