大相撲名古屋場所(2018−07−18)
今年の夏は暑い。
特に名古屋、岐阜は全国的にも気温が高く37℃、38℃、18日は39℃になりました。これは私が過去にオハイオで経験した最高温度102F(39℃)と同じです。

この高温はオハイオに住む前の長期出張(2ヶ月間)の時でした。
会社で借りた車は最初の2週間、何とエアコンのない車。この時にわかったのは、走る時は窓を閉めること、でした。
涼しくなるだろうと窓を開けると、体温より高い温度の空気が入ってきて、逆にとてつもなく暑いのでした。

日本と違い湿気がないので、汗は瞬時に乾いてしまいます。"焼ける暑さ"という感じでした。
中近東の国々の人が、着物で身体を被っている意味がこの時にわかりました。

その後オハイオに住むようになってからも100Fくらいになった事は何度もありました。
しかし建物の中はエアコンがズンと効き、外気温は高かったが、”過ごしにくかった”、という記憶は全くありません。

でも日本は違います。湿度が60%とか70%あり、俗に言うサウナ状態です。エアコンは局所的で不十分です。
とにかく不快です。
言いたくなくても、「暑い」、という言葉が口をついて出てしまいます。
あとどれくらい我慢すればいいのだろう、、、。

そんな暑い中、17日の火曜日、大相撲名古屋場所10日目の観戦に行ってきました。私は少年の頃から今まで、若干の強弱はあったものの、一貫して熱心な相撲ファンです。
しかし今まで本場所の相撲観戦の経験はなく、今回ある方から招待を受けた事により初めてとなりました。
名古屋場所は名古屋城跡の東南端にある愛知県体育館で行われ、名古屋駅からは地下鉄・徒歩で15分ほどで着きます。

観戦する上での心配事が2つありました。
ひとつは暑さです。
招待してくれたTさんから行く前に、「体育館はクーラーが壊れているので、暑さを覚悟しておいて下さい」、と言われていたからです。蒸し風呂の中での観戦はちょっと辛そう、、、。

もうひとつは枡席です。
観戦は枡席の中に座って3時間以上、私は長時間畳などの上に座るのが腰(脊椎管狭窄症)の手術により無理なのです。

結果としてこの2つは、大きな問題にはなりませんでした。
体育館のクーラーは修理されていました。
枡席は4人用を2人で使ったので、腰に負担をかけない格好で観戦する事ができました。

枡席は普通4人用という事で売られます。
しかし4人が入ると弁当を開くのもままならないという広さで、腰に問題のない人でもかなりきついと思います。

入り口でチケット見せて席まで係の人に案内してもらいましたが、「いい席を予約されてますね」、と言われました。
私達は向正面の「枡席A」という絶好の場所での観戦でした。

席に入ったのが幕下取組みの最後の3番くらい、2時ちょっと過ぎでした。この時点で7割くらいの入りでしょうか。
いよいよ十枚目(十両)の取り組みが始まります。
その前に液体燃料2種類とつまみを買いに行き、トイレを済ませます。

枡席での相撲観戦は、寿司をつまみながら液体燃料をチビチビ、というのが正統派の流儀だそうです。

しかし暑さで傷みを用心したせいでしょうか、残念ながら寿司は売ってなかったようでした。

「寿司って、ネタと飯をたっぷりの酢でぎゅっと締めた保存食だろ?」、というのは昔の話。

今はネタの味を殺さない、とかの理由で使用される酢の量が非常に少なく、保存食ではなくなっているのです。
でも隣のオジさんは寿司を食べてました。探し方がマズかったのかな〜。

前の左右の席2つは、どこかのライオンズクラブの私より少し上と思われるオジサン4名と、着物をきちっと着たウオーター・ビジネスのお姐さん3人グループで、これも正統派の流儀です。

このグループ、相撲はたまに向いて見るくらいで、ずっと宴会やってました。
左にいた2人のお姐さんは着物姿で2時間近く枡席の中で正座していましたからスゴいな〜、と感心しちゃいました。

カミさんによると皆さんそれぞれ、0.5リットルの麦ジュースを3〜4本以上飲んでいたそうです。
暑いからいくらでも入っちゃうのですね。
私は北朝鮮にも匹敵する厳しい制裁を受け、麦ジュースは1本だけ、あとは米の汁を1本を頂きました。

今回何よりも驚いたのは高校の2年後輩、ハム仲間のBさんに会った事でした。
彼は私のいた会社の系列会社の元役員で、私と同時期にカナダ・アメリカ駐在もやっていたという間柄です。

枡席に座ろうとしたら後ろの方から、「Nさん!」と呼ばれたのには本当にびっくりしました。

翌日のメールによると、彼は蔵前国技館の時代から東京・名古屋と何度も大相撲観戦に来ているという、筋金入りの相撲ファインでした。

そんな訳で私の応援する阿武咲(おうのしょう)は旭大星に負けてしまい、私はかなりがっかり
まだ膝の故障が尾を引いているのかも知れません。
これで5勝5敗、あと5番、頑張れ!!

この日は稀勢の里が休場、白鳳、鶴竜が途中休場、という3横綱が不在で、私が2番目に応援している栃ノ心は2日前から途中休場という異常事態、非常に残念でした。

そんな中、観客の注目は審判で座っていた元横綱貴乃花でした。貴乃花が審判で入場・退場の時の声援のスゴかったこと。
貴乃花の父親は輪島ではないかとか、父親の貴乃花とその兄の(初代)若乃花との関係とか、週刊誌ネタには事欠かないファミリーです。

彼は角界の改革を狙っているそうですが、何が問題で何をどうしたいのか”具体的”にイマイチはっきりしません。
ナゼ言わないのか、一度でもいいから我々相撲ファンに、具体的な問題と対策をはっきりと言って欲しい。

何も言わない人が現役力士より人気がある、マスコミは貴乃花寄りの報道を繰り返す、これらは相撲ファンではなくても良く理解できない事ではないでしょうか。

それと最近気になる事のひとつとして、相撲を野球とかサッカーとかゴルフのようなスポーツの一種で語る人が多くなってきたことです。

私はこれは間違いだと思っています。
相撲は相撲儀式の中で力士の力と技の勝負を披露する、という”儀式”がベースの興行だと思っています。

儀式ですからこれに関する、しきたり、慣習、やり方、ルールなどを、今の価値観とか欧米的な考えを基準に語るべきではないと考えます。

何でそうするの?と言われたら、答えは「相撲としての考え方」を言えばいいのです。それがたまたま今の世間の常識と異なっていても、そんな事は全く問題ではありません。
相撲には世間の理屈を超越した世界が存在するのです。相撲は相撲でスポーツではありません。

それはともかく、観戦の印象は力士達の身体の柔らかさと俊敏な動き、それと審判の態度でした。立ち会いが互いにかみ合わず2回の仕切り直しをした力士に対し、厳しい叱責が土俵下から浴びせられていました。
全力士を応援します。精進して下さい。