合唱の国、日本:水飲め合唱(2018−08−11)
ここのところ毎日暑い日が続いており、当地三重県北部も37℃になっている。名古屋は40℃とかで、30Km南西にある当地はこれに近い温度だ。
そんな訳でここ数週間は数回を除きジョギング・ウオーキングもやらず、自宅引きこもり状態になっている。

熱中症予防の一つに”水分補給を十分に”、というのがあり、テレビでは盛んに、「水分補給をしましょう」、と言っている。
ボクには”水飲め合唱”のように聞こえる。
水分補給は利尿作用のあるコーヒー、お茶、ビールではなく水、スポーツドリンクではなく普通の水がいい。
しかし、、、思い出すに、昔も結構暑い時があったが先生も、親も、ラジオも、隣のジイさんも、「水分補給しなさい」、なんて誰も言わなかった

そんな事は言われてやることではなく、汗をかいて水が欲しくなったら水道の蛇口からジャー、ゴクゴク、井戸水ゴクゴクをするのは当たり前の行為だから誰もああだ、こうだとは言わなかった
オシッコしたくなったらトイレに行きましょう、とは誰も言わないのと同じだ。

外に行って水飲みたくなったら、どこか適当な家の裏口に回ってそこのおばさんに、「すみません、水一杯下さい」、でOKだった。コンビニで水を”買う”世の中になった、なんてボクは今でも信じられない。

それよりある先生から言われた、水についての注意の方がボクは記憶に残っている。
「夏は水を多く飲む。水は飲み過ぎると胃液が薄くなって、食中毒にかかりやすくなる。だから気を付けろ。」

気を付けろとは"水を飲み過ぎるな"だったか、"食べ物に気を付けろ"だったか、先生はそこ辺のところをどう言ったのか記憶にないが、”水を飲み過ぎるな”、が印象に残っている。

それ以来、ボクは水を飲む時は飲み過ぎに注意するのと、食べ物の傷みに極めて敏感になった。

胃液が薄くなると”食中毒になり易くなる”、と言った先生は元陸軍中尉、支那でさんざん戦ってきた人だった。
水についてはどうもその時の過酷な経験から来ているらしかった。
支那では生水を飲むと誰でも一発で腹をやられる。時には死に至る。水は消毒又は煮沸は必須であった。
だから今でも昔でも陸軍(自衛隊)には給水専門の部隊がある。災害時に自衛隊はこの部隊が出動して、水を配っているだけなのだ。
旧日本軍では”防疫給水隊”、という名称でちゃんと軍医まで配属されていた。

戦地ではいくら飲むなと言っても、渇きに耐えかねて生水を飲む兵隊がいる。そして強烈な下痢を起こす。
そうなると軍袴(ズボンのこと)を脱いで、下半身褌(ふんどし)だけで行軍だ。催すとその場でしゃがみ込む
そう言えば下半身丸出しで、鉄砲担いで行軍してる兵隊の写真を見た事があが、きっと生水飲んだ兵隊だったのだ、、。
この先生はそういう話をよくやった。

先生は水以外に、食べ物についてもいろいろと話をしてくれた。教科の話は何も頭に残っていないが、水と食べ物の話は今でも鮮明に憶えている。
ボクはこの先生のお陰で、水と食べ物の安全には非常に敏感になった

日本では水道水を飲む事ができるが、世界中で水道水が飲める国は多くはない。
例えば東南アジアで水道水が飲める国は、シンガポールを除いてないと思う。

フィリピンの田舎に行った日本人が水道水を飲む。
その後どうなるか、ほぼ間違いなく”言われているとおり”の状態になる
それでも何ヶ月か経つと免疫ができて強くなるが、ある人に言わせると日本で育った日本人は面白いほど簡単にやられるという事だ。

ボクもフィリピンで最初の数ヶ月で4回下痢、うち1回は2週間くらい治らなかったが、理由はいろいろあるが”真の原因は全部水”だと思っている。
そしてその原因は自分で取り除けるものと、取り除けないものがあるので厄介だ。

水道水が飲める国でも口にすると実にマズい。フランス人は水の代わりにワインを飲み、ベルギー人はビールを飲む
水を飲むのは子どもだけだ、とか言われた事もある。
ボクはこれらの国の人達のやり方に大いに賛同できるので、ほぼ毎日見習っている。

要するに水は殺菌された水を飲むこと。
それと夏場は水を多く飲むので胃が弱る。だから食べものも普段は何ともなくても、ちょっとした傷みで下痢などを起こす可能性があるから、注意しろという事だ。

食べ物の対策は、具体的には火を通したものだけを口にする、これが一番だと思う。
でもボクは生魚、つまり刺身が死ぬほど好きだ。困ったものだ。

テレビの”水飲め合唱”では、胃液が薄くなるリスクには触れていない。傷んだ食物は今の世の中にはない、というのが前提条件なのか。
いすれにせよ今の日本は水は良質・無菌、食べ物は売る側、レストラン、家庭も管理が行き届き、食中毒とは殆ど無縁だ。
あの先生が危惧した日本では既にない。
先生はもうこの世にいないが、今の日本を見せてあげたいものだ。

テレビなどの、”水飲め合唱”は主として年寄りに向けてのものだ。
歳をとると水分補給が必要な身体になっても、水を飲みたいという気持が起きなくなる。実はこれが怖い。
今のテレビの”水飲め合唱”は年寄りだらけの日本だからやっているのだ。

そんな事よ〜く分かっているよね、もちろん。