朝型社会とサマーターム(2018−08−31) |
政府はオリンピックに向けてサマータイムの導入検討をしているそうです。 サマータイムの目的は太陽の出ている間の時間の有効活用です。具体的に言うと1時間のサマータームの場合、標準時の7時がサマータイム期間は6時、夜は8時がが7時になります。 この制度の導入についてはナゼか否定的な意見が多いようです。 働き過ぎになる、時差を作るには様々な仕組みを一斉に変える必要がある、健康に影響を与える、などです。 私はサマータイムのあるオハイオ(アメリカ)で14年間生活をしてきましたが、非常に良い制度だと感じていました。 6月22日を中心とする2ヶ月間くらいは標準時では日の出が早く、朝5時前には明るくなります。夜は緯度が高いせいで8時くらいでも空には明るさが残っています。 これを1時間進めるので、日の出は6時前後、日の入りは21時前後になります。 日本人が知らなければならないのはアメリカ人は一般的に朝が非常に早い人達だという点です。 みんな驚く程朝型人間です。 私の会社では標準的な日勤の勤務時間は7時30分〜4時でした。(昼休みは30分なので8時間勤務になります) 日本のように9:00〜18:00なんて会社は特別なところを除いてありません。16:00に会社を出て家に帰ると明るい時間があと5時間たっぷりあります。 平日でも家に帰ってからもう半日がある、という感じです。 家に帰ったら暗くなっているのが当たり前の日本とは大違いです。 オハイオの会社では始業時間を06:30まで早める事ができました。この場合終了時刻は15:00です。 更に始業時刻は申請をすれば0600まで早められます。すると終了時刻は14:30になり、こうなると帰宅してももう1日がある、という感じです。 私も日本とのTV会議などの都合で05:30頃出勤して、15:00頃帰宅をした事がよくありますが、会社から帰っても、もう1日あるというのは大いに実感しました。 |
アメリカ人(カナダ人も)はとにかく朝早くから仕事をします。 日産自動車のカルロス・ゴーン社長は7時出勤だそうです。これには最初の頃、日本人がビックリしたそうです。 アメリカは、朝の活動開始が日本より1時間〜2時間早い、というのを日本人は意外と知りません。 病院とか郵便局のの受付は8時から、高校の始業は7時半からと言った具合です。アメリカのエリート達も朝は非常に早い人が多いようです。 ですから朝の通勤ラッシュは6時〜7時頃になります。 日本人は09時頃から夕方6時,時には8時以降まで働いて帰りに一杯、家に帰るのは10時過ぎで、結局寝るのは夜中の12時前後という生活は普通です。 アメリカでは朝6時から働いて午後3時には家に帰り、夜の9時半までは明るいのでスポーツやったり、庭いじりしたりという生活。 彼等にとって明るい空は非常に大切な時間なのです。 オハイオの私の家の近くに大きなフィットネスクラブがありました。駐車場も何百台分もあり、会費も80ドル〜160ドルと手頃で人気がありました。 私はこの建物のを朝6時50分頃に通過していたのですが、一汗かいてここから出てくる人の多かったこと。 つまり5時半頃からここに行ってから会社に行く、という人達でした。 なぜ仕事前にフィットネスに行くのか、我々の感覚からいくと仕事前に行くと疲れるのではないかと思うのですが、仕事が終わってからフィとネスに行くと、明るい時間に建物の中で汗を流す事になり太陽がもったいない、と言われた事がありました。 ナルホド、、、この感覚は言われるまでは気が付きませんでした。 |
では朝方ではない、どちらかとい言うと夜型社会の日本でサマータイムを導入したらどうなるか、今の生活パターンの日本人にはあまりメリットを感じないのではないかと思います。 夜の8時、9時まで空が明るいので、結局その時間まで働く事になるという意見は当たっているかも知れません。 また1時間時計をずらすことによって体調を崩す、健康によくないというのがあります。 これは経験から言うと、あまり心配しなくてもいいと思います。1時間くらいの生活の乱れは誰でも普段経験していますから。 私もサマータームが始まる前日はちょっと早めに寝る、というような事をやったりしましたが、人間の体内時計は1時間くらいの時差は無視できる範囲だと感じました。 オハイオから日本へ出張すると14時間(サマータイム実施中は13時間)の時差があります。 これは昼夜の逆転ですから夜寝れずに昼間眠くなるという強烈な時差ボケに襲われました。 しかしこれも早ければ4〜5日程度、遅くても6〜7日でなくなりました。 時差は1日で2時間分が解消できると言われていますので、日本がやろうとしている2時間のサマータイムは1日で順応できる事になります。 専門家の一部はサマータームの導入によって不眠症が増えるとか、中には体調を崩して自殺が増えるとか言う人もいます。 時差が1時間の国(台湾)、2時間の国(タイ)に旅行に行って身体の不調を訴える人は殆どいません。 何を根拠にこういう事を言うのかよくわかりません。 ちなみにヨーロッパではサマータイムを廃止しようという意見が最近強いそうです。 これは春と秋に時計を1時間進めたり送らせたりするのではなく、1年中夏時間(サマータイム)にしよう、という意見です。 今の標準時は現代人の生活に合っていないという事かも知れません。 |
サマータイムですが英語では"summer time" とは言いません。その目的のとおりズバリ、"daylight saving time" と言います。 サマータイムは今のところ導入反対意見ばかりクローズアップされているように思いますが、これを3年とか5年とか経験した人の意見をもっと聞いてみる必要があると思います。 サマータイム導入の代わりにシェスタ(午睡)を導入すべきとか、まるで何もわかっていない人のサマータイム反対意見も堂々と出ていますので要注意です。 サマータイム導入で日本人の夜型生活リズムを昼型生活リズムに変える、というのはどうでしょうか。 これは日本社会の大きな変化になると思います。 私の経験では昼型生活リズムというのは仕事の効率も良く、健康的で人間らしい生活ができると思います。 人間も動物です。動物は明るい時に行動し、暗くなったら寝るのが基本です。 起きている17時間のうち14〜15時間は明るい空の下で生活・仕事をする、実に健康的だと思います。 これこそ働き方改革だと思うのですが、、、。 |