私がハムを始めた頃は無線機を自作するのは普通でした。
アマチュア無線をやるには先ず無線機を作るところから始まるのでした。
というよりラジオを作っているうちに、電波を受信するだけではなく、自分でも電波を出してみたくなってハムを始めるというパターンが殆どだったと思います。
無線で話がしたい、という理由だけでハムを始めた、という人はマイナーだったと記憶しています。
その後無線機は自分で作るものではなく、買ってくるものという世の中になり、"話をしたい"、というだけの動機でハムをはじめる人が殆どになってしまいました。
ここ20年くらいで携帯電話・スマートフォン・PCなどが小学生にまでに普及、その影響により現在ではハムは非常にマイナーな趣味になってしまいました。
ところが私の世代以上の古いハムは、未だに無線機を作るのを趣味にしている方が結構みえます。
ハムは通信(コミニケーション)ではなく、無線機の自作が原点と考えている人達です。
私もその中のひとりです。
私が無線機の自作をやる理由は大きくは3つです。
1番目はものつくりの過程が楽しい点です。
回路を考えたり、安く・簡単に作るための工夫、組立て、配線、調整とかそういうレベルの作業、また資料を集めたり調べたりという作業も楽しいのです。
2番目はノスタルジーの世界に浸れることです。
少年の頃やろうと思っていたが、お金もなく知識もなかったので夢で終わっていた事、それが今は少し小遣いもあるし時間もあるので、夢だった事を実現させる、という世界です。
3番目は昔を偲ぶ、というロマンです。私が製作する無線機は80年以上前に確立された技術を使ったものだけです。
その頃の技術と部品で作られた無線機が、今でも実用に供することを実験する、というロマです。
この3つが私が無線機の自作を今でもやっている理由です。 |