高周波(電磁波)とは?(2022年08月29日) |
ボクがアマチュア無線に興味を持ち簡単な受信機の製作を始めたのは小学校6年生の時だった。ボクは津市の郊外に住んでおり、お城近くのラジオ屋で部品を少しずつ買い求め、古本屋でラジオ雑誌などを買って未知の世界を手探りで前進していた。 その頃見た雑誌の中で、どうしても忘れることのできない記事がひとつある。 それは2級酒を特級酒に変える高周波加熱器とかいう怪しげな製作記事である。原理は2級酒を高周波の中を通すと僅かに温かくなり、そして味は特級酒になるというものだった。「こういう装置を作って君のお父さんを喜ばせよう!」みたいな見出しで、3ページの製作記事だったのを覚えている。 具体的にはUY807をハートレー回路で発振させ、負荷コイルの中に細いガラス管を通して、その中をゆっくりお酒を流す、という構造だった。今考えると何のことはない、これは電子レンジの原理そのものである。 電子レンジの周波数は2400MHZ、出力は500W以上なのに対し、この装置は発振周波数は50MHZ〜100MHZ辺り、出力は20W程度なので加熱は実際は無理だったと思う。 記事には酒は高周波をくぐらせるとアミノ酸の成分だか、分子の構造が変化して味が良くなる、とあった。 これはよく理解はできないが大いに気になった。 製作は簡単そうで非常に興味深かったので、その後ボクも作ってみようかと思っていたが、とうとうやらずじまいに終わった。 記事の最後には「装置を使ってみた結果、特級酒に変わったかどうかはともかく、味がよくなったのは間違いありませんでした。」と少々自信なさげな記事執筆者の感想が書かれていたように記憶する。 製作記事はその後しばらく持っていたので、これらの内容の記憶は小学生の頃のものではなく、後日のものである。 残念ながら記事はその後、紛失してしまって今は手許にはない。どなたかこの記事を持って見えないでしょうか。1960年頃の"初歩のラジオ"だったと思うのですが。 この頃の記事で記憶にあるのは”ウソ発見器”、“金属探知機”、“お風呂の水張り警報器”などがある。 ちなみにボクは今、電子レンジ(つまり高周波)で日本酒の燗を時々するが、お湯で燗をするのと同じ味である。 |
アマチュア無線を始めた直後の高校1の頃だったと思う。送信中に終段のタンクコイルとかアンテナカプラーのコイルに指などが触ると、焼けた金属に触ったような感じがするのを知った。 雑誌に"送信中は終段のタンクコイルには触らないように。火傷をします。」、と書かれていたので恐る恐る触ってみたのであった。ボクは触るな、と言われると触りたくなるのは今も昔も変わらない。 この時、高周波の感電はビリビリではなく、"熱い"というのがわかった。 当時は送信機のファイナルの同調とかアンテナカプラーの同調指示の簡易的な方法として、ワン・ターン・コイル・ランプが用いられていた。 ここでボクは考えた。コイルの中は高周波が渦巻いており、それをワンターンコイルで検知しているのだ。 そして高周波加熱器もコイルの中をお酒をくぐらせると、ほのかに暖かくなると書いてあった、、、。 しかし自分の指を入れて体験する勇気はなかった。指が焼け切れてしまいそうだ。そこでボクは実験に付き合ってくれる生き物を探した。 いた。庭の花壇の中でカマキリを見つけたのである。 ボクはカマキリをアンテナカプラーのコイルの中に入れて、そして逃げないようにコイルの左右を紙で塞いだ。 カマキリは何が始まるのか?というような顔をしてコイルの中に入っていた。ボクは送信機のスタンバイ・スイッチをONにした。 瞬間カマキリは激しくもがいた。送信をOFFにするとカマキリはおとなしくなる。つまりカマキリは高周波で身を焼かれていたのである。カマキリは今で言うところの電子レンジ(仕掛けは超原始的ではあったが)の中に入れられ、”調理”されそうになっていたのであった。 その後イナゴでやってみたが、同じように送信するとイナゴはコイルの中で異常に暴れた。イナゴは3匹を入れてみたら同調がズレたのを記憶している。 高周波は生き物にとって非常に危険な存在である事を、ボクは数匹の虫の尊い犠牲のもとに知ったのであった。 |