先日ある先輩から、オーディオ装置の改良についてのメールが来た。
「いい音を楽しむためにいろいろやっているが、その中でPCとDACを繋ぐケーブルを高級品に換えたら、音質が大きく改善された。」と書いてあった。
アンプのコンデンサーを、ある種のものに交換したら音が良くなった、ケーブル端子を金メッキに換えたら音に深みが出た、とかボクら高周波マニア(アマチュア無線家)の観点からでは、単純に「そうですか。」と言えない事を真剣にやっている、低周波マニア(オーディオマニア)がいるのをボクは知っている。
オーディオ機器は純粋な電子機器であり、オーディオマニアのやっている事の中には、測定器上では電気的性能に変化はないはずの変更でも"音が変わる"という事で、大変な努力(お金)を払っている人がいる。
こういう世界にのめり込んでいる人達を、"オーディオ教信者"と呼ぶのもボクも知っている。
もっとも電気的特性に表れない(現れにくい)要素による音の変化というのが実際にはあって、”人間の耳は、それを感じる事ができる”という見解を、アマチュアではなくプロから聞いた事がある。
メールをくれたボクの先輩は、論理の連続性を重視する人で信者でもないので、ボクは先輩がメールで伝えて来た事を、ちょっとだけ真剣に考えてみた。
PCとDACは、USB−A/Bケーブルで接続されている。
USBの信号ラインには多くのノイズが乗っているのは周知である。このノイズが、信号ライン上のデジタル信号に影響を与えて信号が劣化、結果として音質を下げている可能性があるのではないか、と。
USBケーブル内には信号ラインが2本と、5Vの電源ライン2本の合計4本のライン入っている。信号ライン上のデジタル信号のノイズは、元々信号に含まれているノイズと、横を走る電源ラインから誘導で入ってくるノイズ、それに様々な周囲の機器から誘導混入される3種類がある。
つまり高級ケーブルとは、USBケーブル上で誘導・混入してくるノイズを防ぐために、ケーブル内の4本のラインを厳重にシールドしてあるケーブルなのだ。構造の概要を示すあまり鮮明ではない図を見て、高級ケーブルとは一体なんぞや、ボクの所見である。
更に大抵の高級ケーブルはコネクターの接点、その他各部が金メッキである。所詮ケーブルなので、結局はそういう見える違いをつけて、商品としての付加価値を上げている、と言うことのようだ。 |