スペイン旅行あれこれ−2:(2024−07ー24)
日本のご婦人の帽子については旅日記にも書いた。今回のスペイン旅行は男性7名、女性12名の合計19名+女性添乗員だった。
これらの女性は全員頭すっぽりの帽子を被って、更にマスクをしている人も数人いたいた訳だが、ボクが過去に行ったツアーで帽子を被らない日本人のご婦人はほとんどいない。

帽子の目的は日焼け防止だそうだ。
日焼けについてはスペインも含めて、欧米では夏が終わって日焼けしていないと、引け目を感じるらしい。
それは”バカンスに行けなかった可愛そうな人”となるからだ。

アメリカでも夏のバーケーションから戻って、日焼けした女性社員は生き生きとしていた。「ねえ、ねえ、聞いてくれる?私どこへ行ったのか。」、という感じだった。

そういう女性を見るとボクは自分の手で自分のほっぺを触りながら「どっか南方へ行ったの?カリブ?」とか"質問"してあげたね。

大袈裟に言えば”日焼けはステータスシンボルの一種”、こういう事なのだ。

日本人のご婦人が帽子を被って日焼けを避けるのは美容上の観点と、かつては日焼けを野外労働と結びつける考えがある、と言うことをある人が言っていた。
ちなみに東南アジアでも同じ理由により、しかるべき階層のご婦人は赤銅色になってはいけないそうだ。

それはともかく日本人のご婦人方はみんな同じような帽子を頭から被っている。

というより頭全体から顔の半分に至るまでを隠し、そして中にはマスクで顔の大半を覆い、僅かに目だけを出し、更に念入りに日傘で覆う方もいる。

「日本人はイスラム教徒が多いの?」
と西欧人の中には半分真面目に思っている連中がいるのを、ボクは知っている。

ボクはサウジアラビアに行った事があるので、本場イスラムの女性がどういう格好をしているか知っているつもりだが、顔の露出度に関して日本のご婦人は決して彼女たちに負けていない。

添乗員曰く、スペインではそもそも美白化粧品は非常に少ない、というか”ない”、そして日傘なんかもどこを探しても”絶対にない”そうだ。(日傘、今回2名の方が使っていた。)

なお、パーマネント頭にサンバイザー、サングラスかけている東洋人のご婦人は、半島方面の可能性が高い。
それぞれのお国によってファンション(?)は違う、、、こういうのを観察するのも旅の面白いところだね。

マドリッド、バルセロナはスペインの大都会である。我々が行ったのは観光名所と、そこに至るまでの道路だけで、裏通りなどには行かない。
つまりきれいなところしか目に入らない。
そういう意味では両方ともきれいな大都会で、何を見ても芸術を感じさせる趣があった。

そして他に訪れた街とは明らかに違う事がいくつかあった。
そのひとつが肌の色の濃い人が目立つ点である。街中、レストラン、土産物屋どこでも目につく。
彼らは主としてモロッコからの移民で、100万人近くいるという。モロッコはスペインの旧植民地である。

スペインの移民は南米からは60万人、ルーマニアから60万人など、スペインの人口5000万人の約5%は移民である。日本に置き換えると700万人という事か。

これ以外に出稼ぎがどれだけいるか、何十万人単位でいるそうだ。
結果、何が起きているか?治安の悪化である。

最近は取り締まりの強化で少しは良くなったそうだが、かつてはツアーがマドリッド市内のホテルに泊まった時は、夜間は外出しない、というのが鉄則だったそうだ。

ひったくりはなどはスペイン人も大いに被害に遭っており、街中でモノを持つときはスーパーのビニール袋に入れて歩くのがいいらしい。
つまり中には食料品しか入っていませんよ、ひったくりやってもメリットないよ、というカモフラージュである。

それと生活に直結する一般国民の税金であるが、所得税は所得がどんなに低くても最低税率19%が適用、4人家族で6万ユーロ(900万円相当)の所得があると控除を考慮しても26%とか。つまり給料の4分の1は所得税で消える。
消費税は21%
である。(食品は0%〜10%)

税制というのは国ごとに複雑で、また社会福祉への反映なども違うので一概に比較はできないが、国民に対する直接税・間接税は日本の方が安いのは間違いない。

国民ひとり当たりのGDPは日本より少し低い(3万3千ドル)、失業率は日本の4倍(12%)、貧困率は日本の2倍(25%)、なので日本より貧富の差はグッと大きい。
生活実感は住んでみないとわからないので何とも言えないが、日本の方が少しよさそう、という感じはした。

スペインの車はドイツ車、フランス車が中心で、詳しくは調べてないがこれらの国のメーカーはスペイン国内に工場を持っており、メイド・イン・スペイン車が殆どと思われる。
車の80%くらいがドイツ車とフランス車で、スペインメーカーのSEATは10台に1台も見ない。たまに日本車、アメリカ車、韓国車である。

スピードはバスで120km/h、乗用車は140km/hくらいで流れている感じで、それでも左の車線をすっ飛んでいく車があるので150kmは出ていると思う。

運転は荒っぽい。マナーもよくない。
車の運転マナーはポルトガル>スペイン>フランス>イタリーの順で、スペイン人に言わせると「オレたちはポルトガルよりはマシさ」という事らしい。

ボクは昔フランスで運転をした事があるが、ベルギーとかドイツに比べてその荒っぽさに怖かった記憶がある。
高速道路のスピード制限は120km/hであり、最近取り締まりが厳しくなって、全体的ににスピードが落ちているらしい。

スピード違反の罰金は20日以内に払うと何と"半額"になる。但し45日をオーバーすると20%増しになるというシステムである。

イタリーのように道路を渡っている歩行者を見ると"アクセルを踏む"というのはどうかわからないが、歩行者は信号は殆ど無視、これもグローバルスタンダード。

車検は5年以上の車に1年〜2年ごとに受ける必要があり、費用は1万円以下で30分くらいで終わるらしい。
事故などの場合、相手のみをカバーする保険への加入は義務であり、これは日本と同じである。
ナビの普及率は30%程度で、多くのドライバーは必要な時はスマホのナビを使っているらしい。確かにボクも普段のドライブでナビを使う事はないね。

バスから道路を走る車を見ながら、ガイドの話を聞きながら、メモをした内容の一部である。

グループツアーは添乗員、それに現地ガイドの質によって全く違ってくる。ボクは悪質な日本人現地ガイドをイヤという程経験している。

日本の旅行会社がセットしたコースを「こっちの方がいいから」と別のツアーを客に売り込み、ごっそりマージンを稼いでいたガイド。
訪問地の説明そっちのけで、夜のオプショナル・ツアーの売り込みに必死だったガイド。

質問をしたら食ってかかってきたガイド。客の困りごとを全く無視するガイド。
土産物屋訪問にやたら時間をとるとるガイド。

これは現地人ガイドであるが、日本語レベルが低すぎて、内容が99%理解できなかったガイド。

また現地ガイドとケンカを始めた日本人添乗員もいた。(ボクの判定は添乗員にレッドカード。)
信じられないような事ばかりだが全部本当だ。

そういう中で今回の添乗員と現地ガイド5名(うち1名は日本人)は全て◎だった。
要所、要所での説明が適切で、かつ知識が豊富であった。こういうのはズバリ、珍しい。

今回の旅行ではバスの移動時間が長く、その間に聞く添乗員の説明などはツアーのメリットのひとつであった。

年令を重ねると欠点はあっても、初めての場所への旅行はグループ・ツアーに参加、という形になる。添乗員・ガイドは当たり外れがある。外れた時は諦めるしかない。行くまでわからないのだから、、、。

しかし今回の旅は良く歩いた。毎日1万5千歩〜2万歩以上。64才から〜87才の19名、誰からも「疲れた、キツい」という声はなかった。
皆さん元気でした、本当に。